昨年6月、北海道副知事から北海道信用保証協会の会長に就いた山谷吉宏さん(64)。就任早々、北海道胆振東部地震の発生で対応策に奔走、金融環境の安定化に協会トップとして力を尽くしてきた。道庁の経験を金融安定化の要のポストでどう生かしていくのか、舵取りの方向を聞いた。(写真は、山谷吉宏北海道信用保証協会会長)
ーー信用保証協会の役割と今後の方向性を聞かせてください。
山谷 信用保証協会の仕事は、基本的には金融のセーフティーネットです。経済情勢が厳しい状況になった時、東京など首都圏であれば市場から企業が撤退してもプレーヤーが入れ替わることがあるでしょう。しかし、北海道のような地域で、地盤やネットワークを築いてきたプレーヤーが突然いなくなって、次に新しいプレーヤーが登場することはそうそう簡単なことではありません。経営資源をしっかりと引き継いで、新しいものを付加しながら次の時代に繋いでいくことについて、首都圏と北海道では求められている質が違います。
当協会はセーフティーネットの役割を果たし、厳しい経済環境をしっかり支え、事業承継についても経営資源を大切にして次に繋がるように支援するーーまず、それらをしっかりやりながら新規創業、海外進出のお手伝いをします。
新しく業を起こすベンチャー企業もそうですが、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)のように企業内で新規分野を掘り起こしていく社内ベンチャーを含めて新しいことを起こそうとする人たちは、そんなに体力があるわけではないし、事業力があるわけでもありません。
そこを、私たちがしっかりとお手伝いをしていきます。新規創業の場合、一概には言えませんが、最初は勢いで走りますが、本格的な経営の段階に入った時こそ大切な時期になります。当協会がきめ細かな経営相談を行いながら必要に応じて専門家を投入、しっかりと北海道発の企業として進んでいけるように環境を整備します。これをもう一つの大きな柱として進めたい。
当協会では、様々な経営相談を行っていますが、それらの相談は国の補助金などが利用できます。専門家の派遣、計画策定の相談なども経費は協会が負担しています。今、急ピッチで相談業務が伸びているので、補助金だけでは賄いきれない部分が出てくると思いますが、当協会が自前で補いながら各企業をしっかり支え、大きく伸びてもらいたいと考えています。