「改革、未だ遠し」 北海道観光振興機構近藤龍夫会長が1年目の振り返り

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 公益社団法人北海道観光振興機構は29日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で平成27年度通常総会を開催、会員ら約250人が出席した。2008年の機構設立の趣旨である官民一体の運営に向けた改革のため道庁などから三顧の礼で迎えられた近藤龍夫会長(71)は、冒頭の挨拶でこの1年間を振り返り「官民一体運営はそう簡単にはできない。未だ道遠しで容易ならざるものだ」と述べたうえで、「会長を引き受けた限りはわが使命と考え努力する」と語った。IMG_6305(写真は、通常総会で挨拶する近藤会長)

 北海道経済連合会会長を退任した近藤氏は、昨年6月、振興機構の会長に就任した際の気持ちをこう表現。「観光予算を充実させて機構の体制を整備、官民一体で業務運営できるようにすることが課題と考えた。私も年なので最後の仕事と思って『よっしゃ』と引き受けた」
 1年が経過して、2015年度の道観光予算は大幅に増え、現在開会中の第2定例道議会で補正予算が可決すれば昨年比3倍近い17億円に迫る額になったことについて、「金額だけ見れば良かったなと思う。道庁や議会の皆様の尽力に感謝したい」と語った。
 
 一方、官民一体運営の実現については、「道庁からの出向者(2人から11人に)も増えたが、(官民一体運営は)そう簡単にはできない。未だ道遠し、容易ならざるものだが、引き受けたからにはわが使命と考え、引き続き実現に向けて努力していく」と宣言していた。
 
 近藤会長は、この1年間、機構の事業運営実態を調べあげたことについても言及、「端的に言って多くの基礎的課題がある。これを解決しなければ予算をどれだけ増やしても実効性が乏しい。しかし、課題解決すれば間違いなく大きな飛躍ができると思っている」と述べた。
 
 解決すべき課題の一つに掲げたのが、国内の道外観光客誘致に向けたプロモーションの実態。「国内の道外客は道内観光消費額全体の12%くらいを占めており、増えている海外観光客の2・5%と比べてもウエートは大きい。国内の道外客の入り込みをいかに増やしていくかが大事なのに、1999年の615万人をピークに16年間低迷している。この原因究明が過去になされた形跡がない。毎年、似たようなプロモーションをただ繰り返しているにすぎない」と批判した。
 
 今後は、原因究明とプロモーションに工夫を加えること、さらにはうまくいっている道外の観光地に学び、モノマネするくらいの積極性を持ってもらえるようにオープンな調査をしていくことを強調し、「従来はこの部分に踏み込みが足りなかった」とした。
 
 さらに、「予算付けして実施した事業等の検証がおろそかで、次回以降に反映されていない。1年ぽっきりの予算でやってきたことの弊害だ。次年度以降に反映することを積極的にやって行かなければならない」とも指摘した。
 
 近藤会長は、こうした1年で見えてきた課題について正しくていくことを最優先にしたうえで、今回増額になった観光予算を実効性あるものにしていくという。「慣れ親しんだやり方を変えるのは大変ハードな仕事だが、増額していただいた予算を有効に大切に使う責任も増大しているので敢然と取り組んで行きたい」と最後は決意表明のように締めくくっていた。

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