美々尋常小学校跡地の横で3045坪の宅地造成工事

社会・文化

 人家がほとんどない苫小牧字美沢地区。くねくねとした美々川に沿って走る美沢道線には、廃屋がところどころ目につく。木々に囲まれた道を通り抜けると、急に視界が広がる。道端には、美々尋常小学校跡地の碑。その碑の近くで、宅地造成工事が進められている。 (写真は、美々尋常小学校跡地で進められている宅地造成工事)

 苫小牧方面と千歳方面を結ぶ主要道路、国道36号の東側を走る美沢道線。車はほとんど通らないが、時折、美々川のせせらぎと水芭蕉が顔を見せ、主要道路とは違うゆったりとした時間が流れる。車を走らせていると、見過ごしてしまいそうな小さな碑が建っていた。「美々尋常小学校跡地」。碑には、大正3年2月開校、大正10年1月12日統合と記されている。

 往時の賑わいが信じがたいようなこの地で今、宅地造成工事が進められている。碑のすぐ横の字美沢45番地には、「宅地造成工事許可」の看板と、「苫小牧市自然保護環境保全条例開発行為許可」の看板が建っていた。「宅地造成工事許可」の看板によると、造成主は大東開発(本社・苫小牧市)、施工はフジテク工業(同・同)、工事期間は2024年3月25日~同年7月31日となっている。「苫小牧市自然保護環境保全条例開発行為許可」の看板にも同様のことが書かれ、開発工事の種類は、樹木の伐採、抜根となっている。敷地面積約3045坪(1万49㎡)の土地は、すでにほぼ更地になっている。

 美々尋常小学校が、統合によって姿を消してから90年近くが経った今、この地で新たな賑わいが生まれようとしている。タイムカプセルのように大正年間から変わらなかった風景が、時を刻み始めた。時代はこの地をどこに向かわせるのか、思いが巡る。

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