「泊原発を廃炉にするために」--原子力と放射能汚染の恐怖を広瀬隆氏が3時間講演、聴衆500人身じろぎせず

社会・文化

「食料自給率200%の北海道で福島原発のようなことが起こったら、日本の食料は大変なことになる。何とかして泊原発を止めなければならない」――放射能と原子力の問題を追及し反原発の活動を続けている広瀬隆氏(68)の講演会が10日、札幌市中央区の共済ホールで開かれた。コープさっぽろの主催によるもので、約500人が参加し会場は満席。「日本列島は地震の活動期に入っており泊原発はたまたま地震の直撃を受けていないだけ。最近の地震の揺れは2000ガルを超えている。活断層が動いた一撃で泊は終わってしまう」と広瀬氏は述べ、3号機の営業運転入りを認めた高橋はるみ知事を批判した。(写真は、広瀬氏の講演会)
 
 広瀬氏の講演は午後1時から始まり、途中休憩を10分間挟んだだけでほぼ3時間通して行われた。途中で退席する参加者はなく、広瀬氏の示す福島原発のデータや深刻化する食料汚染の実態について身じろぎせずに聞き入っていた。
 
 広瀬氏は、福島第一原発は500ガルの地震の一撃で配管が損傷していたことを示し、地震の翌日には沸点が4600度Cもあるモリブデンがガス化していたと指摘、ウランさえガスになっていた可能性があると語った。
 
 さらに、「1号機と3号機の爆発は明らかに違う。3号機は黒い塊が飛び出し降り落ちてきた。黒い塊は燃料棒そのもの。人が近づくだけで死んでしまう大量の瓦礫が散らばっている」とし、「1号機から4号機まで全部の爆発を食い止められなかったことは日本の原子力研究者が無能だということを示している」と断じた。
 
 そんな中で原発が13基もある福井県の西川一誠知事が運転再開に反対していることや浜岡原発に近い静岡県の湖西市長が廃炉を主張したことに、「県民や市民の生命、財産を守るのが知事や市長の役割という考え方こそ大切。原発がある現地で即時停止の声を上げていくことが大事。泊3号機の営業運転を認めた北海道の高橋はるみ知事は道民の生命と財産を守ることを放棄している」と声を荒げる場面もあった。
 
 続いて広瀬氏は、食料を通じた汚染が静かに始まっているとして、「汚染地の名前を隠した産地偽装が進んでいる。そうした商品が広範囲に及んでいる。最大の問題は内部被曝。食べ物の放射能を減らすしかないが、国はなぜ米のストロンチウムを計測しないのか。ストロンチウムは骨に入って一生出てこない」などと語り、内部被曝を抑えるために食品のベクレル表示をするべきと主張した。
 
 食料自給率40%の国内で大半の食料を供給しているのが北海道と東北。北海道は食料基地であり、「北海道で原発事故が起きたら大変なことになる。泊をとめてください」と広瀬氏は参加者たちに強く訴えた。
 
 広瀬氏の講演は、時に誇張や過激さが相俟って反原発関係者からも賛同できないという声もある。今回の講演でも思いが強いあまり言葉が乱暴になる場面もあったが、抑えきれない感情が広瀬氏を突き動かしていることは伝わってきた。
 
 なお、原発に関する講演会として泊原発の廃炉をめざす会が23日午後1時から元三菱重工原子力プラント設計者の杉山弘一氏を招き『原発はコントロールできるか!?』を開催する。参加費500円、場所は札幌市教育文化会館。広瀬氏ほど過激ではないものの、原発の元設計者しか知りえない話が聞けそうだ。

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