末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の「日本札幌神殿」が7月に札幌市厚別区大谷地に完成する。異国情緒のある荘厳な建物でモルモン教神殿としては日本で3番目だという。この宗教施設の誕生を見るまでもなく札幌・厚別には宗教団体の施設が他の区に比べて格段に多い。なぜ、宗教団体は厚別を目指すのか。(写真は、札幌・厚別に登場したモルモン教の日本札幌神殿)
札幌市内10区の中でも、厚別区にはとりわけ宗教団体の本部や施設が多い。信者・信徒の多い創価学会や天理教のほか幸福の科学は、各区にそれぞれ均等に支部や施設があるが、それ以外の宗教団体が厚別区には集まっている。
順不同に列挙すると、「立正佼成会札幌教会」、「阿含宗北海道本部」、「霊波之光札幌支部」、「世界心道教札幌分講」、「佛所護念会教団札幌教会」、「相川神霊教院本院」などなど。さらに今年に入って、室内納骨堂の「栗嶋教会」が札幌東別院を建て、7月には冒頭のモルモン教日本札幌神殿が完成する。
なぜこれだけの宗教施設が集中するのだろうか。それは厚別区の地理的な位置にありそうだ。同区はJR新札幌駅があり道央高速道の札幌南インターチェンジもある。新千歳空港から降り立って30分強で着く札幌の東玄関口なのである。交通の利便性は他の区に比べて群を抜いている。
また、札幌中心部からも30分ほど。飛行機やJR、高速道を使って訪れる信者・信徒たちばかりでなく195万人を擁する札幌の信者・信徒たちにとって足を運びやすい。
こうした交通の便ばかりではない要素もあるという。それはどうやら方角らしいのだが、それぞれの宗教の吉方位が同じということはないだろう。
もうひとつある。それは厚別開拓の経緯にヒントがありそう。北海道の開拓は、本州から集団で移住してきたケースが多いが、厚別は一旦札幌や小樽に入った人たちが再び移り住んで開拓した土地。いろいろな出身地から集まってきた人たちが多かったため、開かれた風土が形成されてきたようだ。
地理的位置と開拓時代の風土が宗教施設の聖地となっている理由かもしれない。