石狩管内新篠津村でケタ違いの騒動が起こっている。全戸に配布されている議会通信『しんしのつ』。年4回発行されているこの議会情報誌の102号(2月1日発行)に掲載された一般議案の財産取得1億7324万円が次号の103号(5月1日発行)では、1732万円に訂正されているのだ。予算を審議する議会の情報誌でのケタ違いの間違いなど本来発生するはずがない。この騒動、「何かがあるのでは…」との憶測が広がっている。IMG_4497(写真は、新篠津村役場)

 新篠津村は、道の駅に併設した温泉宿泊施設「しんしのつ温泉たっぷの湯」を今年2月まで第3セクターの新篠津ふるさと振興公社を指定管理者として運営してきた。しかし、業績がなかなか好転しないとして、公社の解散を決め、3月からは公募で選んだ伊達観光開発(本社・伊達市)を指定管理者として運営することになった。期間は2021年3月末までの5年間。
 このため、これまで指定管理者として新篠津村ふるさと振興公社が運営期間中に自前で購入した備品や什器類など財産一式を村が取得する費用を計上。その金額にケタ違いの誤りがあったというわけだ。
 
 102号では、写真のように公社の財産一式の取得費用として「契約金額」1億7324万4965円と掲載されている。しかし、翌103号では、写真のように訂正として1732万4965円とされた。
P1080989P1080993(102号では、1億7324万円、103号では1732万円に訂正=写真)
 
 金額のケタを間違うことは、予算など金のチェックに精通している議員なら本来あるはずがない。ケタを間違う程度の感覚で予算審議をしているとすれば本末転倒。かりに原稿段階で間違っていたとしてもゲラ校正など二重、三重もチェックがあるはず。しかも「契約金額」と記されており、村と公社の売買契約に則った金額なら慎重になるべき箇所だろう。
「村には、財産取得の中身を公開すべきだという声があるのですが、村や議会は詳細を明かさない」(村民の1人)。
 
 102号で財産取得1億云々が報告された後の3月に行われた住民と議会の懇談会では村民から「村所有の施設なのに、なぜ村が公社の財産を買い取る必要があるのか」と意見が出ている。まるで、それを受けたように訂正されたのが1732万円。
 
 何かあると思われても仕方のないケタ違いの訂正だ。さらに憶測は広がる。新たな指定管理者として伊達観光開発を選定したのは、「新篠津村第3セクター検討委員会」。その委員は、東出輝一村長や石塚隆村議会議長のほか村議会副議長、副村長、総務課長の5人。村と議会だけのメンバーで公正中立な選定ができたのか疑心暗鬼を呼ぶ顔ぶれだ。また、公募の縛りで、たっぷの湯で今後必要となる設備などは伊達観光開発が自前で用意するとされているのだが、実際には村が資金支出しているという。
 ケタ違いの単純ミスとして済まない背景が広がっている。


22人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。