DSC_7052 新千歳空港ターミナルビルで31日から開催されていた「新千歳空港国際アニメーション映画祭2014」(実行委員会主催)は3日、最終日を迎えコンペティション上映された17ヵ国45作品の中からグランプリや新人賞など11の賞が選ばれた。最優秀のグランブリに輝いたのはトマーシュ・ポパクル監督(ポーランド)の「ジーゲノート」。審査委員長のクリス・ロビンソン氏は、「思春期の神秘、不安を力強く繊細に描いた」と受賞理由を述べ、トロヒィーと賞金100万円を授与した。(写真は、グランプリ受賞のトマーシュ・ポパクル監督=右とクリン・ロビンソン審査委員長)
  
「ジーゲノート」は、19分間の作品で、海辺の村に住む漁師の父が10代の息子に漁師の仕事を教え込むのがモチーフで、内向的な少年が厳しい競争に立ち向かう姿を描いている。トマーシュ監督は、「私の中で日本はこれからとても大切な国になる。特別な場所としてこの映画祭は心に残ることになります。心から御礼を言いたい」と喜びを語った。
 
 国内グランプリは、審査員のジェレミー・クラパン氏が発表、「テクニックを卓越した仕方で混ぜ合わせ、必ずしも愉快でない世界を何とかして愛すべきものとして描き出そうとしている」とひらのりょう監督の「パラダイス」を選んだ。新人賞は、審査員の岸野雄一氏が発表、「喪失と悲しみがもたらす非論理的なリアリティを描いた神秘的で有無を言わさぬ力を持ちそして極めて成熟した作品」としてショーン・バッケリュー監督(アメリカ)の「アナザー」を選出。この作品は、観客が選ぶ「観客賞」とダブル受賞になった。
 
 さらに、千歳市と苫小牧市から応募で選ばれた小学生5人が審査員になってファミリープログラムの作品の中から選考するキッズ賞には、ステファン・オビエ、ヴァンサン・パタール両監督(ベルギー)の「パニック イン ザ ヴィレッジ~ザ クリスマス ログ~」が選ばれた。子ども審査委員長の畑島胡徹君は、「カウボーイとインデアンがサンタからのプレゼントをゲットするためにアイデアを出してもすぐにバレたりするところが面白かった。実写ではできないアニメならではの表現がとても良かった」と受賞理由を述べていた。
 
 新千歳空港国際アニメ映画祭は、国内初の空港常設映画館を利用した映画祭で、期間中にはセンタープラサを利用したポップカルチャーフェアやアニメの製作体験なども行われ多くの来場者で賑わった。ロビンソン氏は、「映画祭のスタッフやボランティアの皆さんに感謝する。この映画祭が長く続くことを心から祈念する」と述べた。 
 
 その他の受賞作品は次の通り。
▽ISHIYA賞 ユリア・アロノヴァ監督(ロシア) 「僕のママは飛行機」
▽北海道コカ・コーラ賞 姫田真武監督 「ようこそぼくです選」
▽サッポロビール賞 マーク・ジェームス・ロエルズ、エマ・ドゥ・スワーフ両監督(ベルギー、フランス) 「ファイト」
▽ロイズ賞 クレア・キャロル監督(アイルランド) 「ア ガールズ ベスト フレンド」
▽観光庁長官賞 水江未来監督 「ワンダー」
▽外務大臣賞 若井麻奈美監督 「ひとりぼっちのヒーロー」
※各審査員が選ぶスペシャルメンションは次の通り。
▽岸野審査員 ウロ・ピッコフ監督(エストニア) 「アダとオットー」
▽クラパン審査員 スティーブン・アーウィン監督(イギリス) 「ザ・オブヴィオス・チャイルド」
▽ロビンソン審査委員長 池亜佐美監督 「ウサララバイ」
(閉会式では受賞者全員が登壇した=写真)
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