北海道新聞の発行部数が、2024年1月以降、80万部を割り込み、同年3月で79万3944部となった。ピーク時には110万部台だったが、その頃からおよそ3割減少した。夕刊廃止後のコストダウン効果が、部数減により圧縮されかねない。(写真は、札幌市中央区大通西3にある北海道新聞社)
道新は、2000年代に朝刊120万部、夕刊80万部の朝刊・夕刊セットで200万部体制を目指していた。しかし、メディアの多様化やSNSの普及で新聞購読層が減少、部数は、減少傾向をたどっている。2020年10月には、朝刊・夕刊セット料金を月額4037円から4400円に10%値上げした。値上げは、1996年以来、26年ぶりだった。
値上げにより、財務体質の改善効果が期待されたが、その後の新聞用紙代の大幅な値上げや読者のライフスタイルが大きく変化、2023年9月には、1942年の道新創刊当初から発行してきた夕刊の発行を終了した。そうした中での朝刊発行部数80万部割れは、道新関係者に衝撃を与えている。「2020年の値上げにより部数減少は避けられなかったが、80数万部で底を打ったという見方が大半だった。今年に入ってからの80万部割れは、底ではなかったという意味で極めて深刻な状況だ」と話す。
現在の朝刊月額料金は3800円。仮にこの金額でピーク時から3割減になったことを単純計算すると、11億円の減少になる。道新は夕刊廃止によって、2024年3月期決算で見込んでいた8億3800万円の営業損失を圧縮、来期以降の収支改善に繋げる意向だが、80万部割れの恒常化は、この計画に水を差しかねない。実際、2023年12月は80万6514部だったが、2024年3月にはそれりより1万2570部減少している。新本社移転に伴う旧本社利活用の不動産事業も、単独では難しいのではという声が広がっている。