「北方ジャーナル」2022年11月号が本日15日朝、店頭に並んだ。今月のトップは「地元紙・80年めの迷走 道新 不祥事隠蔽か」だ。帯広で起きた記者による情報漏洩の事実を2年間公表しなかった地元大手紙は、本号発売前に道新紙面に謝罪記事を掲載した。だが、それは本来9月末にも公表される予定だったところ、一度見送られた経緯がある。さらに言うなら、報告される不祥事が2年前の11月に発覚した時点で、同社はただちにその事実を読者へ説明すべきだった。隠蔽疑いがあかるみに出るのと前後して、編集現場では内勤記者の収入激減が問題となり、部内説明会が設けられる事態となっている。創刊80周年を目前に控えた北海道新聞が今、やけに騒がしい──。(画像は、北方ジャーナル11月号の表紙)

 函館の隣にある北斗市(池田達雄市長)が手掛けた総額1億1800万円弱のLED化事業が一者随意契約だったことをめぐる問題の続報にも注目だ。住民監査請求は棄却されたものの、このほど施設の一部で蛍光灯がLEDに交換されていなかった契約不履行が発覚。引き渡しの際に業者と市がともに確認を怠っていたという杜撰さが浮き彫りになったのだ。さらには照明灯の積算が水増しされていた疑惑も浮上するなど、道南で起きたLED騒動はまだまだ収まりそうにない。

 本誌面で19回めの報告となる、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。昨年から本年初頭にかけた50件超の被害認定がひとつの節目だったとすれば、その問題はこれからまたひとつの大きな佳境を迎えることになる。最悪の被害といえる在学生の自殺事案で第三者調査委員会発足の報が伝わったからだ。本号店頭発売時までには初会合が設けられ、遠からず遺族への聴き取り調査が行なわれる可能性が高い。悲劇から3年強、事態はようやく動き始めた。

 安平町の早来北進地区で計画されている産業廃棄物最終処分場の建設問題をめぐり、同町(及川秀一郎町長)が9月10日、環境問題に詳しい専門家や弁護士を招いて「あびら環境フォーラム」を町内で開いた。この計画をめぐっては、5年前に道の建設許可が下りているが、地元にはすでに産廃処分場があることを理由に、町は「2つの処分場はいらない」と反対の立場を明確にしている。住民への情報提供を目的としたフォーラムを通して産廃問題と向き合う安平町の動きを追った。

 そのほか、本号からの新連載【シリーズ・住宅不動産情報】にも注目。旧札幌テルメのシャトレーゼ ガトーキングダム サッポロにほど近い札幌市北区の東茨戸地区が戸建て住宅地として注目を集めている。2019年末、79区画から始まった宅地分譲は偶然が重なり、その後続々と造成が進み、予定を含めると250区画を超える計算に。若い世代の一次取得者が多く、一家4人と想定すると千人近い住民が増えることになる。まさに令和のニュータウンの様相だ。本誌では住宅不動産関係のホットな情報を毎号お届けしていく予定だ。

 このほか「浦河ひがし町診療所」の川村敏明院長へのインタビューもオススメ。浦河にある精神障害者コミュニティ「べてるの家」の設立と運営に深くかかわった川村院長は我が国における精神医療の課題と可能性をどう考えているのか──。

 本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル11月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※11月号主要コンテンツ
【報道】
■地元紙・80年めの迷走〈7〉──道新、不祥事隠蔽か。帯広で情報漏洩、2年間公表せず
■道南の北斗市で噴き出した「LED化疑惑」を追う〈2〉──発覚した業者の契約不履行
■告発・絶望の学府〈19〉──江差看護・パワハラ死から3年、遺族の申し入れ受け再調査開始
■産廃処分場建設中止を求める安平町役場が環境フォーラムを開催
■仁木町で開かれた「STOP!! 風車」学習会、メガ風発事業に住民が危機感
■問われる馬産地観光のマナー。「ウマ娘」を地域資源にすべく日高振興局が見せた行政の本気

【ニュース】
■水産や芸術文化にも目を向けて「原子力マネー」に頼らない町へ
■国際大訴訟で大月隆寛氏ら尋問。不当解雇問う争い、年内結審へ
■取り調べ同席めぐる通達の撤回。道警「誤解招いた」との認識示す
■野次排除訴訟、控訴審で尋問へ。暴行者の証人申請は事実上却下

【特別企画】創刊50周年記念特集(6)──地方メディアの役割とは
◇旭川発・地域メディアの役割と課題―社会医療法人元生会理事長 森山領氏
◇戦後から続く道北の日刊紙「稚内プレス」の現在―稚内プレス社社長 工藤充氏

【医療】
●「浦河ひがし町診療所」川村敏明医師に「精神医療の可能性」を訊く

【地域経済】
●(新連載)シリーズ・住宅不動産情報──札幌の東茨戸に出現する令和のニュータウン
●路地裏経済ウォッチ──札幌の時間貸し駐車場事情を探る「中心部で強気の価格設定」

【企業】
●エア・ウォーターG「しかおい水素ファームの挑戦」──乳牛ふん尿を活用し水素に

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(86)──「ひきこもり外交官」さえきたいちさんの素顔(前編)
●“農と食”北の大地から(194)──持続可能な農業をめざす「もっと北の国から楽農交流会」
●戦争遺産をめぐる旅(84)──“あの時の悲劇”を今に伝える広島市内の被爆建造物


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