週明け11月14日に店頭に並ぶ「北方ジャーナル」2022年12月号の内容を予告紹介する。今月のトップは「全国旅館団体トップ 阿寒鶴雅の大西雅之社長が賭けゴルフ」。全国約2600の宿を束ねる一般社団法人日本旅館協会会長という要職にある大西雅之氏(67)が率いる鶴雅グループ(本社釧路市阿寒町)で、まさかの不祥事が発覚した。9月下旬、阿寒カントリークラブで開催された「鶴ゆう会ゴルフコンペ」で賭けゴルフが行なわれていたことがジャーナルの取材で分かった。この懇親コンペには取引業者のほか大西氏をはじめとする多くの鶴雅幹部が出席。参加者の大半が金銭を賭けて“勝馬投票”に興じていた。10月下旬、記者の取材に応じた鶴雅側は事実を概ね認めた。国内有数の観光ホテルチェーンとして名高い鶴雅でいったい何が起きていたのか──。北方ジャーナルのスクープに刮目だ。(画像は、北方ジャーナル12月号の表紙)

 続く注目記事は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)における過去の勧誘実態を暴く実名告発。大学に入ってからボランティア活動を装った、統一教会の下部組織から誘いを受け、やがて強引に入会を迫られた体験を赤裸々に綴った手記が編集部に届いた。一文を綴った苫小牧在住の高倉信幸さん(63)は当時、教団の研修先で幹部から暴力を受けたうえ軟禁状態に置かれ、40年経った現在も心身に傷を負ったままだ。生活保護を受けながら市営住宅で暮す高倉さんは「私が世間にお役に立てることがあるとすれば、統一教会の勧誘の巧妙な手口、そして異常なまでの執拗さをお伝えすることだと思います」と話す。手記をもとにした本人の語りに耳を傾けてもらいたい。

 今回で20回目の報告となる北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題からも目が離せない。「事案の重要性に鑑み、できるだけ迅速に調査を進めたい」。最悪の被害といえる在学生の自殺事案で第三者調査委員会が発足。10月中旬に最初の会合を設けた第三者機関は、新たな取り組みに臨む決意をそう語った。この問題で、長く待たれていた自殺事案の再調査。在学中に亡くなった学生の遺族が求めるのは、真相究明のみならず、その学校が真っ当な教育の場に変わることだ。願いが実を結ぶ日は、いつ訪れるのか。

「地元紙・80年めの迷走」と題してお届けしている北海道新聞の検証シリーズ。前号で報告した北海道新聞の取材メモ漏洩問題で、同メモが地元企業の役員人事をめぐる裁判に証拠提出されていた事実を道新関係者が遅くとも8月下旬に把握していたことがわかった。漏洩問題は前号締め切り後の10月7日に公表されたが、道新はそれまで1ヵ月半にわたり事実を伏せ続けたことになる。その後の社内処分では当事者を含む3人が制裁の対象となったものの、組織ぐるみの隠蔽疑いについては誰も責任を問われていない。小さからぬ疑問を残したまま、問題はこれで幕引きとなるのだろうか。

 そのほか、10月上旬に札幌市内で開催され錚々たる顔ぶれがワクチン政策の暗部を見つめた「アフターコロナシンポジウム」のレポート、50周年記念特集で「北海道米の奇跡」を語ってくれた元農政部長のインタビューもオススメ。認知症に関する治療とケアの最新情報が分かる「つしま医療福祉グループ」のメディカルレポートも興味深い。

 本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル12月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※12月号主要コンテンツ
【報道】
■阿寒 鶴雅の大西雅之社長が賭けゴルフ 協力会との懇親コンペで幹部と業者が「勝馬投票」
■「青春を返してほしい」旧統一教会の被害者男性が実名告発。軟禁と洗脳、そして暴力─
■告発・絶望の学府〈20〉──第三者委、遺族に聴取2時間 江差・パワハラ死で調査開始
■地元紙・80年めの迷走〈8〉──隠蔽、組織ぐるみか。道新、メモ証拠提出は8月時点で把握
■道警不祥事から考える〈59〉──懲戒、3カ月で4件。未発表「異性関係不適切事案」を発見
■「新幹線・札樽トンネル」建設残土問題を追う〈4〉──鉄道・運輸機構が搬入を一部断念

【ニュース】
■自民・東衆議が地元市議を提訴。旧統一教会との関与「事実無根」
■取り調べ記録映像、提出命令へ。不当捜査めぐる訴訟で地裁見解
■パワハラ死訴訟、控訴審が終結。看護師遺族の訴え、高裁判決へ
■イオン北海道がザ・ビッグ永山店でスーパー劣勢だった旭川の勢力挽回
■佃煮・煮豆製造の老舗、小樽の北川食品が創業百年を前に廃業

【レポート】
■ワクチン政策の暗部を見つめる「アフターコロナシンポジウム」を黙殺したマスメディア

【環境】
■産廃処分場建設中止を求める安平町議・内藤圭子さんに訊く。町議になった「農家の母さん」

【特別企画】創刊50周年記念特集(7)──北海道にイノベーションを起こそう
◇【特別インタビュー】北海道農業が起こしたイノベーションと今後──元北海道農政部長・竹林 孝氏
◇【特別インタビュー】脱カーボンを目指すLEDリース事業──あかりみらい社長・越智 文雄氏
◇【ビジネスレポート】洋上風力発電にITで地域おこし。サンエスグループが見据える未来

【オホーツク特集】
■北見市長 辻 直孝氏──まちを元気にするカーリング熱 地域を明るくした畑や海の恵み
■紋別市長 宮川 良一氏──全国一位となったふるさと納税 紋別高看、まもなく移転建替へ

【医療】
●認知症対策に取り組むつしま医療福祉Gの対馬代表に訊く「グループで生まれる高いシナジー効果」

【経済】
●シリーズ・住宅不動産情報②──江別市が2万㎡超の市有地など2カ所を売却へ
●札幌商工会議所 岩田体制3期目の布陣で見えてきた「次期会頭の顔」
●菓子事業の一大企業体が新規事業を展開。「北海道コンフェクトグループ」とは

【人物】
●世界と日本を旅した下川町の栗岩英彦さんが3冊の「放浪記」を上梓。筋金入りの“旅バカ”人生

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(87)──「ひきこもり外交官」さえきたいちさんの素顔(後編)

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