「北方ジャーナル」2022年4月号が本日14日から店頭に並んだ。今月のトップは、江差パワハラ問題のスクープ「被害学生遺族が慟哭の告発“息子は殺された”」だ。第三者調査で50件超の被害が認定された道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、未だ公式には認められていない最大の被害がある。理不尽な指導で留年を余儀なくされた男子学生が自ら命を絶ったのは、3年前の秋。不意の悲劇に言葉を失い、事実を追及する気力さえ奪われていた遺族がこの春、初めて被害告発に臨む決意を固めた。小さな声を支えるのは、ただひとつの思い。「なかったことにされたくない」――。(画像は、北方ジャーナル4月号の表紙)
広大なオホーツク西紋地区の医療を預かる広域紋別病院(曽ヶ端克也院長・150床)の医師流出の続報にも注目だ。内部対立などを理由に昨年秋から今年1月にかけて副院長をはじめとする常勤内科医3人が病院を去る事態の中で、どのような医療が失われてしまったのか。そして、かつて同病院の誕生に当り汗をかき地域医療の存続に尽力してきた紋別市の宮川良一市長(67)は、今回の問題をどのように捉えているのか。折しも宮川市長は、現在の及川郁雄氏に取って代わり、この4月から運営母体である企業団の企業長に就任することが決まっている。2月下旬、宮川市長を市役所で直撃した。
不動産仲介、不動産賃貸管理、駐車場管理のネクステップ(本社札幌)経営陣における暴走からも目が離せない。北洋銀行幹部が代々社長に就く同行の親密企業でありながら、水口千秋社長(67)がオーナー社長のように振る舞い、自身の報酬倍増や社長定年延長などやりたい放題。こういった水口社長をはじめとする経営幹部のガバナンス欠如を3月号で指摘したところ、本誌発売直後の株主総会で水口社長が会長に退き、濱岸春尋副社長が社長に昇格したことが分かった。事実上の水口社長の引責辞任という受け止めが広がる中で、ネクステップ経営陣の暴走にブレーキはかかったのだろうか──。ネクステップを覆う暗雲を追う。
現在ロシアが行なっているウクライナ侵略と重なるのが、77年前に起きた「日ソ中立条約」の一方的な破棄によるソ連の日本領土への侵攻だ。そんな当時の辛酸を味わったひとりである千島歯舞諸島居住者連盟根室支部長の宮谷内亮一さんが2月5日、急性心不全のため根室市内の病院で死去した。本誌は例年2月号の根室・北方領土特集で元島民への聞き書きを掲載。昨年12月には宮谷内さんへ通算8回目のインタビューを行ない、要約を本年2月号に掲載したばかりだった。本稿では、宮谷内さんへの追悼の思いを込め、最後となったインタビューの全体をあらためて読者に紹介したい。そこには武力により故郷を蹂躙された当時の日本人の筆舌に尽くし難い辛酸が吐露されている。いま国難の真っ只中にあるウクライナの人々に心を寄せる意味でも是非読んでもらいたい一編だ。
このほか先月号で報じた、コープ共済から詐欺で告訴された釧路の柔道整復師の続報、豊浦町の汚水不法投棄事件で小川副町長ら7人が書類送検された事件、“核のゴミ”問題に揺れる神恵内村長選の結果と「概要調査」に向けた動きなども詳報。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル4月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。
※4月号主要コンテンツ
【報道】
■独占スクープ! 告発・絶望の学府〈12〉──被害学生遺族が慟哭の告発、江差パワハラで奪われた命
■広域紋別病院の医師流出問題を追う〈2〉──失われた地域医療。内科医退職で被った大きな痛手
■北洋銀行の親密企業「ネクステップ」経営陣の暴走〈2〉──本誌発売直後に水口社長が退任
■ウイルス禍が奪った“居場所” 路上支援、受難。地下鉄駅内での物資提供「禁止」
■“核のゴミ”29──神恵内村長選の結果と「概要調査」に向けた動き。現職が村外候補に圧勝
■神恵内の村長選に敗れた脱原発活動家。“よそもの”に厚かった現職の壁
■2022参院選/連合北海道・杉山元会長に訊く「立憲と国民は、またひとまとまりに」
【ニュース】
■豊浦町の汚水不法投棄事件で副町長ら7人を書類送検
■コープ共済から詐欺で告訴された釧路の柔道整復師が破産手続きへ
■道警の警察官が児童買春で懲戒、本部はホームページで注意喚起
■強制不妊・道外訴訟で国が敗訴、札幌の小島さん「私も敗けない」
【追悼】
■急逝した宮谷内亮一・千島連盟根室支部長 最後の激白「ソ連侵攻を受けた元島民 77年前の辛酸」
【医療】
●札幌の中村記念病院が導入した「薬剤ヘルニコア」による椎間板ヘルニアの低侵襲治療
【文化】
●ゲーム愛好家3人が市立小樽文学館で企画展。ゲーム文化を支えた同人誌や攻略本などが大集合
【社会】
●千秋庵と業務提携したCOC長沼社長に訊く「和菓子の事業は長年の念願 今後のシナジー効果に期待」
●【春の全国交通安全運動】多様化する交通環境の中で問われる人々の安全モラル
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(79)─ひきこもりを理解できない父親。まだ少ない家族会への参加
●戦争遺産をめぐる旅(80)─栗山町のハサンベツに残る旧陸軍の拠点「火薬庫の沢」