授業料を半額免除する私立大学が増えている。授業料を安くすることで学生募集を有利に進め、私立大学間の競争に勝ち抜こうというものだ。デフレに対応した措置とも言えるもので、私立大学授業料にもデフレ化の波が容赦なく押し寄せている。
札幌国際大学は、2011年度の新入生を対象に新たに2つの奨学制度を設けて、大学生活を支援する取り組みを始める。
新設するのは、①一般試験入学および大学入試センター試験利用入学特別奨学生制度②新入学生家計支援特別奨学金給付制度――の2制度。
同大学では既に入学金23万円の2分の1相当額を減免する「入学金減免制度」、学業に意欲的で経済的に困窮している学生を対象に24万円を支給する「一般奨学金」、10万円を上限に教育ローン借入保証料および借入利息を補助する「奨学融資助成奨学金」の入学支援制度を取り入れている。
来年度からさらに2つの特別奨学制度を採用することで、学生や親に向けて同大学を選択する動機付けのきっかけにしたい考えだ。
①は、同大学の一般試験入学および大学入試センター試験を利用して入学した学生の合格上位者に対して初年の年間授業料の半額を免除する制度。大学では観光学部、人文学部、スポーツ人間学部の全学部が対象で年間81万円の授業料が40万5000円に、短期大学部では総合生活学科と英語コミュニケーション学科の76万5000円が38万2500円に、幼児教育保育学科の83万5000円が41万7500円になる。
一般試験入学募集人員、センター試験利用入学募集人員のいずれも10%程度の学生を対象にする。
②は経済的に困窮している学生を支援する制度で、新入学生のみが対象。初年度だけに適用され、入学後に全学で30人程度を上限にして年間24万円を給付する。給付対象者の選考は、家計を支える保護者の所得総額を基に、日本学生支援機構奨学金算定方法を準用して選考する。
同大学では、①について1000万円、②600万円程度の予算を計上している。
こうした支援制度は、札幌学院大学でも取り入れている。09年度から年間授業料の半額を給付する「経済援助奨学金制度」を設け、10年度入学生では66人がこの制度を利用している。
札学院ではさらに11年度から経済的に困窮している学生を対象にした奨学制度も採用する。これは「自宅外生生活援助制度」と呼ばれるもので、札幌や江別以外の地方から同大学に学んでいる学生が対象。選考を経たうえで年間12万円を支給する。
18歳人口の減少が見込まれる中で、各大学は生き残りのために差別化を積極的に進めている。デフレに対応した授業料半額制度の導入は今後さらに広がりそうだ。