つしま医療福祉グループが、札幌市豊平区東月寒に日本医療大などを移転する構想に道庁が待ったをかけたことで波紋が広がっている。同医療福祉グループは、東月寒向ヶ丘地区の学校法人八紘学園所有地の一部を使って日本医療大などの施設を移転させる構想を進めている。これを受け、土地所有者の八紘学園が都市計画変更制度を使って同地区の都市計画変更を市に提案。市はそれを基にする変更議案を1月31日の札幌市都市計画審議会に諮ったが了承されなかった。年度内の議案再提出は難しく、2019年度の同審議会1回目となる5月ころ、市は議案を再提出、再度審議会で議論されることになり都市計画変更は遅れそうだ。(写真は、都市計画変更の対象地区になっている八紘学園所有地の一部=雪堆積場付近。左下は建設中の複合商業施設「BRANCH札幌月寒」の一部)
札幌市内で土地所有者が都市計画の変更を提案するケースは、北5西8の伊藤組土建名誉会長・伊藤義郎氏邸宅敷地の一部変更、北8西1の再開発計画に伴う変更の2例がある。いずれも当初の審議会では不同意が多数を占めた。現地視察や議案を一部変更して再提出、同意を得るまでに1年近くを要した。
今回、市は所有者の八紘学園の提案を受け、東月寒向ヶ丘地区の同学園所有地約61・6haのうち、大和リース(本社・大阪市中央区)が建設を進めている複合商業施設「BRANCH札幌月寒」の隣接地約5・8haについて、これまでの都市計画を変更。文教・機能複合地区として医療福祉など生活便利機能を持つ建物が建築できるよう議案をまとめた。
議案の事前説明を18年11月15日開催の都市計画審議会で実施。周到な準備をした上で今年1月31日開催の審議会の諮問に臨んだ。結果は参加委員20人のうち不同意11人、同意9人で採決されなかった。市にとって大きな誤算は、委員である道庁担当部局長の不同意。事前にレクチャーをするなどして同意の感触を掴んでいただけに、道の不同意は想定外だったもよう。
市は、これまでの『大学、専門学校、専修学校、畜舎以外は建築してはならない』から『住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿は建築してはならない』に変更した議案を示したが、この変更案が委員に、『住宅…下宿』以外ならすべて建築可能という疑念を抱かせる要因になったようだ。
市は今後、建築可能な建物を明記する方向で再度議案を練り直して、次年度審議会に臨む考え。八紘学園はこれまで都市計画の変更には後ろ向きだったが、18年6月に理事長が交代、前向きに転じ、つしま医療福祉グループの土地活用策を受けて都市計画変更を申し出ていた。同医療福祉グループは、道が実施した旧月寒グリーンドーム跡地のプロポーザル提案入札を巡って大和リースと競合、落札できなかった経緯がある。今回は、隣接地の八紘学園所有地の一部を活用して進出する計画を進めていたが、道庁の待ったがかかった格好。かつて、道との関係が良好とされたつしま医療福祉グループ、両者に何があったのか波紋が広がっている。