札幌市は、大規模な国際会議や展示会・見本市を行えるMICE施設を札幌市中央区南10西3の札幌パークホテル敷地内に設けることを決めた。2025年完成を目指すという。しかし、03年にやはり多額の資金投入をして作った白石区の「札幌コンベンションセンター」はどうなるのか。目的は同じMICE。市には棲み分けの整理が出来ているのか。20180307_140741(写真は、札幌パークホテル)

 MICEとは、企業のミーティングの「M」、企業の報奨旅行や研修旅行を示すインセンティブ旅行の「I」、国際機関や学会が開催する国際会議を示すコンベンションの「C」、展示会・見本市などエキシビションの「E」を示す言葉。市は、280億円をかけて中央区中島公園に隣接する札幌パークホテルの建て替えに合わせて整備することを決めた。

 札幌パークホテルを所有運営するフジ・メディア・ホールディングス傘下のサンケイビル(本社・東京都千代田区)が、施設老朽化のため現在駐車場として利用されている敷地に新ホテルを建設。完成後に旧ホテルを取り壊してMICE施設を建設、完成後に市が買い取る格好だ。

 中心部から近くて交通の便も良く、中島公園と隣接している好立地なのは良いにしても、疑問は2003年に竣工した白石区東札幌の札幌コンベンションセンターがどうなるのかということ。ただでさえ閑古鳥の鳴くMICE施設なのに、25年以降は閉鎖状態に陥るのは必至だ。

 そもそも、この札幌コンベンションセンターには宿泊施設も付随して建設する予定だったが、当時のホテル業界が大反対。結局、コンベンション施設だけとなった経緯がある。立地も地下鉄駅から徒歩10分弱、付近には商業施設「イーアス札幌」があるもののMICEの魅力は乏しい。そのうえ、中心部に新たなMICE施設が整備されれば、この施設はますます使われなくなるのは明らかだ。多額の税金投入で建設したこの施設はどうなるのだろう。 


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