というのも、鈴木道政に向けて人事案のたたき台を作っていたのは高橋氏が最も信頼していた窪田毅副知事(63)だった。しかし、それらはすべてひっくり返されたようで、新たな人事案を構想したのは吉川ー山谷ラインだったと言われている。
中でも高橋氏の面子が潰れたのは、土屋氏のUターン人事。いったん道庁を去った幹部を呼び戻すのは、高橋道政の人事が失敗だったことを意味するものだ。山谷氏の復帰説も一部では囁かれたが、さすがにそれは波風が立ちすぎる。土屋氏の復帰は波風を抑えつつ高橋道政の人事を刷新する最大の効果を生むことになった。
高橋道政末期には、道庁幹部人事は年々いびつな状況に陥り、踏み絵を踏ますことが幹部登用の鍵とさえ言われるようになっていた。「そこまでひどくなっているのか」と、諦めの感想を抱く道庁OBは決して少数ではなかった。それだけに今回の副知事人事は、「働く道庁」、「汗水を流す道庁」、「市町村から信頼される道庁」への回帰をアピールすることになりそう。鈴木道政の第一歩は高橋道政との決別宣言でもある。
ちなみに退任する副知事3人の再就職先だが、阿部啓二氏(61)が公益財団法人北海道中小企業総合支援センター理事長、窪田氏は北洋銀行監査役、辻泰弘(63)氏は北海道土地開発公社理事長や札幌大学理事長などが挙がっている。