鈴木直道知事(38)の道政1期目を支える副知事3人の顔ぶれが明らかになった。22日の道議会で提案され承認が得られれば本格的に鈴木道政の布陣が決まる。副知事選任のキーワードは、攻めの道政だがその裏には高橋はるみ道政の流れを断ち切り、人事刷新をアピールする狙いもあった。3人の顔ぶれは、その意図を示している。(写真は、鈴木直道知事)

 副知事候補の3人は、前道農政部長で現北海道銀行アグリビジネス推進室産業戦略部長の土屋俊亮氏(61)、道公営企業管理者の浦本元人氏(62)、総務省から出向中の道総務部長の中野祐介氏(49)。浦本氏の副知事就任を予想する向きは多かったが、他の2人については斬新な顔ぶれを予想する向きも多かった。例えば民間登用では農業に見識のある有名人の起用やJR北海道の路線問題、公共工事の後ろ盾などから国土交通省からの派遣などだった。今度の顔ぶれが明らかになって多くの道庁マンは「なるほど」と頷いたことだろう。奇をてらうことなく安定感を保ちつつ冒険色も滲ませているからだ。

 ともあれ、鈴木知事が就任早々打ち出したのは副知事3人の一斉交代だった。歴代新知事は、1期目スタート時に2人を交代させても1人は留任させ道政の継続性を重視してきたからだ。しかし、鈴木知事は3人交代の腹を早くから固めていた。

 高橋前知事(65)の16年間によって人事の適材適所が崩れたと言われている。特に3期目、4期目になると高橋氏が誰よりも道庁の人材を知るようになり、自身の好みか、そうでないかが人事の基準とさえ言われるようになった。古くは、吉田洋一氏、成田一憲氏など道庁内外で人望も実績もあった筆頭格の副知事候補が登用されなかった。昨年は山谷吉宏副知事(65、現北海道信用保証協会会長)が、突然の首切りになり道庁を去った。知事自身がありもしない事件の噂を元に自民党本部首脳に山谷切りを報告したとも言われている。

 話はややそれるが、この件は今度の副知事人事の伏線にもなったので紹介しておくと、山谷切りの底流にあったのは、吉川貴盛衆議(68)への牽制だった。当時、高橋氏は5選も視野に入れていた節があり、新たな知事候補を模索していた吉川氏の動きを鈍らせたかった。吉川氏と高橋氏の間にある疑心暗鬼は、10数年前の吉川氏の衆議選(道2区)のころから払拭されることなく続いていた。一方、吉川ー山谷ラインには強固な繋がりがあり、高橋氏は山谷切りが吉川氏と道政の距離を遠ざける格好の切り札になると踏んだようだ。

 その後は、高橋氏の参議選への転身決定や鈴木氏の知事候補決定、誕生へと進み、高橋氏と吉川氏の確執は薄れたようだが、今回の人事で確執は現在も続いていることがわかった。

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