4月1日付の道庁副知事人事に波風が立っている。筆頭副知事の荒川裕生氏(61)が退任、窪田毅総合政策部長(60)が新たに起用されるものだが、この人事を巡って道議会自民党会派の半数近くが高橋はるみ知事の采配に疑問符を投げかけているからだ。何があったのか。IMG_2524(写真は、道庁本庁舎)

 波風が立っている一方で、道庁OBたちの今回の副知事人事に対する見方は、「順当」というものが多い。知事は上川総合振興局長や観光振興監、知事室長、総合政策部長を務めた窪田氏の行政能力を評価、どうしても特別職に処遇したかったからだ。窪田氏は60歳、特別職に上がらなければ道庁を退かざるを得ないぎりぎりの年齢だ。

 特別職である副知事の枠は3人。引き上げるには1人を退任させるしかない。そこで荒川氏の退任となったものだが、「荒川氏は平時の男。難問が横たわるこの時期に誰を退任させるかを考えたら、知事には荒川氏しかいなかったのではないか」とさる道庁OBは語っている。

 4年前に荒川氏とともに副知事に就任した山谷吉宏氏(63)は、行動力に定評があり吉川貴盛衆議をはじめ政界とのパイプも太い。過去の武勇伝から多少のリスクはあっても知事はその行動力を頼りにしたいところだ。また、2年前に副知事に起用した辻泰弘氏(61)は、一人旅の風情を醸し出すも経済部長出身で泊原発再稼働を見通せば知事として交代させたくない人物。

 そんなことから玉突き人事で押し出されたのが荒川氏ということだが、この人事が明らかになる3月初旬、JR問題や空港民営化問題、TPP後の日米農業交渉で北海道農業はより厳しい局面を迎えそうなことなどから道議会自民党会派の幹部有志らが知事サイドに副知事3人の留任を申し入れていた。

 しかし、知事はそれを振り切って窪田氏を起用した。実はその伏線になるような事態が昨年起きていた。それは、昨年6月に設立された道内政治経済界有志による空港民営化懇談会(座長・吉川衆議、通称・吉川勉強会)の道庁メンバーが空港民営化担当の荒川氏ではなく、山谷氏になったからだ。もともと空港担当として当初から道のとりまとめ役だったのは荒川氏。知事は荒川氏をメンバーに選ぶのが当然。しかし、それをせず山谷氏を道の代表として参加させた。



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