苫小牧戦略に揺らぎ?DCMホーマックが承継店舗8ヵ月で閉店

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 DCMホーマック(本社・札幌市厚別区)は28日(日)、ホームセンターの「柳町店」(苫小牧市)を閉店した。この店舗は、苫小牧市の地元企業、フジタ産業が展開していた「ハッピーワン・プロ&ポップ・HARERUタウン店」を譲り受けて昨年10月末にリニューアルオープンしていたばかりの店舗。何があったのか。DSC_7358(写真は、閉店当日の柳町店)

 同社は、フジタ産業のホームセンター事業(3店舗)を昨年8月に譲り受けたが、柳町店はその主力店舗だった。事業譲り受けの目的は「胆振・日高商圏のドミナント化(集中出店)を強化して地域に支持される店舗づくりをするため」(当時の発表リリースから)としていたが、他の2店舗は継続するものの、柳町店はDCMホーマックの運営になって1年を経ずに閉店することになった。
 
 閉店理由は、同社が市内の北栄町と弥生町に大型ホームセンターを今夏以降に相次いでオープンするため。しかし、この大型店計画はフジタ産業の事業譲り受け以前から計画されていたもの。大型店新設とフジタ産業の譲り受けはいわばドミナント化のパッケージ戦略だった。
 
 この戦略が揺らいだ一つの理由として考えられるのがホームセンター道外大手のコメリ(本社・新潟市)の苫小牧出店。昨年12月にオープンした「コメリパワー苫小牧東店」(新開町2丁目)はホーマック柳町店と1㎞も離れていない。しかし、コメリの出店計画も一昨年から明らかになっており、競合店出店も加味したうえでの事業譲り受けだったはず。
 
 柳町店の閉店は、こうした想定が崩れたことを表しているようだ。一般的に閉店の最大の理由は不採算だが、柳町店の赤字額は想定以上に膨らんだものと思われる。ドミナント化で地域の売上げを増やしていこうにも消費増税後の不振はホームセンター業界に激震を走らせる。看板の架け替えや内装のリニューアルだけでも相当な投資をかけた柳町店をこれ以上継続させるのは得策ではないという判断があったと考えるのが順当だ。
 
 柳町店の閉店により、DCMホーマックの店舗は苫小牧市内4店舗になる。今夏の2店舗を加え6店舗体制で、苫小牧地域の戦略を再構築していくことになる。
 
 コメリは苫小牧東店に加えて来年12月にも錦岡地区に大型店を出店、「東と西を押さえるオセロ出店」(業界通)でシェア拡大を狙う。ホームセンター業界に詳しい関係者は、「ホーマックとコメリは客層が違うのでそれほど競合しないのではないか。しかし、最近のホーマックはコメリをあまりに意識しすぎで、『杯中蛇影』のようだ。コメリ、恐れるに足らずなのに…」と語っている。
IMG_9236(写真は、ハッピーワンとして営業していたころの店舗)

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