4月10日の北海道議会議員選挙で札幌市厚別選挙区から出馬予定だった伊達忠一参議秘書、村上誠氏(48)が急遽出馬辞退した問題が波紋を広げている。辞退の理由は、伊達参議が支部長を務める自由民主党北海道参議院選挙区第一支部の政党交付金の使途等報告書に記載漏れがあったためという。村上氏は会計責任者を務めていた。(写真は村上誠氏と村上氏のパンフレット)


しかし、既に修正申告しており出馬辞退の理由としては如何にも不自然。その裏には、伊達氏が最後の最後になって長男の元道議、忠応(ただまさ、38)氏を差し替え出馬させようとした疑念が残る。
結果的に、村上氏の代わりに町村信孝衆議秘書の花崎勝氏(57)が出馬することになった。
道議選厚別選挙区の自民候補は人選が二転三転、一時は伊達参議の娘や看護師協会が推す女性候補が水面下で取り沙汰されたが、1月中旬になって伊達参議の私設秘書、村上氏が公認候補として立候補することが決まった。
村上氏は出馬表明後に伊達参議秘書を辞任し、事務所も町村事務所のあるビルの上層階に設置、事務所開きも行い告示に向けて活動を開始していた。
しかし、3月中旬になって激震が走る。
村上氏が会計責任者をしていた自民党北海道参議院選挙区第一支部の政党交付金使途等報告書に記載漏れがあったことが明らかになったからだ。
総務省が公表している政党交付金使途等報告書を見ると、道参議選挙区第一支部の経常経費として支出されている人件費は、平成17年分522万5039円、18年分316万329円、19年分24万9366円、20年分515万6980円、21年分557万4764円と計上されている。18年までの会計責任者は松崎耕治氏で19年から村上氏に変更になっている。
この人件費支出を見ると明らかに19年分が少ない。丁度この年は伊達氏の参議選挙があった年だ。
関係者によると、「この年の人件費は伊達氏が大株主の札幌臨床検査センターから寄附を貰って村上氏の人件費に当てていたようだ。ただ、札臨検の記載はなく政治資金規正法に抵触するおそれがあるとして村上氏は出馬断念に追い込まれたようだ」
しかし、過去においてこのレベルの記載漏れで告発された例はなく、通常は支部長の謝罪、修正申告で済む程度の問題。
今回、伊達参議の謝罪の言葉はなく村上氏の出馬断念で責任を取った形にした訳だ。
事情を詳しく知る関係者は、「確かに記載漏れがあったが、誰が見ても文句の出ない適正な処理をしている。抵触する可能性があるというが、未だこういうことで告発されたケースはない」ときっぱり言う。
村上氏は昭和38年1月生まれの48歳。岩見沢農業高校卒。同56年3月に陸上自衛隊勤務、同58年4月警視庁採用池袋警察署勤務、平成2年10月に渡辺省一代議士事務所、同3年8月から伊達忠一道議の私設秘書を務め今年2月まで現職だった。
土壇場での候補変更には、伊達参議の計算があったのではないかという見方は強い。と、いうのも今回、厚別選挙区で自民候補者選びが難航したのは、伊達参議が長男の忠応氏(札幌臨床検査センター副社長)を出馬させようと動いていたからだ。
忠応氏は平成15年4月の道議選に初当選したが、その半年後にススキノで酔って暴行し辞職。同19年4月の道議選でも返り咲きを狙って当選したものの、その数ヵ月後には旭川市内での飲酒運転が発覚したことにより辞職している。2回連続して当選後1年も経たずに辞職している。
今回の政党交付金報告書の記載漏れ“事件”は、村上氏に代わる候補者選びが時間切れになることを見越して、伊達参議が忠応氏の無所属出馬への道を開こうと仕組まれたと考えれば辻褄が合う。
「3年前に伊達参議の後援会は解散届けを出しているのに、幹事長クラスが忠応氏でまとめようと動いた形跡もある」(前出の事情通)
結局、厚別区の自民公認候補は町村代議士秘書の花崎氏に決まり自民党厚別区連関係者は、花崎支持でようやくまとまった。

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