似鳥昭雄ニトリHD会長、北海道経営未来塾120分講演のダイジェスト7000字語録

経済総合

「一番大事なことは素直なこと、信じるか信じないかということ。渥美俊一先生が主宰していたペガサスクラブでは、春と秋に研修があった。目標を持って長期計画をつくる研修だ。私が当時、目標を100億円、20店と書くと、渥美先生から『そんなのはだめだ』と突っ返された。300億円にしても『だめだ』と。適当に1000億円、100店と書いたら、『それでいい』と、研修センターからようやく帰してくれた。『会社の壁に貼って毎日唱和しろ』とも言われた。会社に戻ってから、毎朝全社員で唱和を始めたら、社員がどんどん抜けて行った。『うちの社長はおかしくなった』と。よその会社を受けて、受かった社員から順に辞めていって、最後にはほとんど人がいなくなった」

「中途入社や定期採用の社員を入れながら対応した。大半は定期採用にしなければだめだと言われた。スカウトしないと大きくなれないとも言われた。スカウトは40代以上を狙った。その人がいなくなったら、会社が傾くくらいの人材を引き抜けということ。今でもそうだ。当社の執行役員は20数人いるが、7割はスカウトした人たちで、プロパーの執行役員は3割しかいない」

「企業が早く成長すると、そのスピードにプロパー社員たちはついていけなくなる。20代はまだ未熟、30代は改善の世代、40歳代でようやく一人前。社内では今も、20年以上のキャリアがあってトップクラスの人材を引き抜いて来いと、ハッパをかけている。自分の給料を減らしてでもそいつに出してやれと。自分の給料より高い人を引っ張って来ないと意味がない。自前の幹部だけ成功することなど100%あり得ない。どんどん交代させないといけない。うちの役員の顔ぶれは10回くらい変わっている」

「企業が大きくなっていくためには、改革が避けられない。ダイエーが倒産したのは、売り上げ1兆円の時と同じやり方で3兆円を目指そうとしたからだ。やり方を変えないといけない。階段で上がっていく時に踊り場があるが、それと同じこと。100億円の時に一気にやり方を変えて300億台を目指し、300億円に到達できたら7~800億円台の時には1000億円台のやり方に切り替える。人も物も仕組みシステムも、全部変えていかないといけない。1000億円から3000億円に行く時には、2000億円の頃から1兆円に向かって準備をする」

「月単位ではなくて週単位で、業績を分析しなければいけない。月によって曜日が違ったり、30日や31日があったりするからだ。週単位だと月曜日から日曜日での決算を月曜日に見ることができる。何が成功して何が失敗したか、週ごとにすべて対応できる。部門別管理もしなければならない。部門別の利益を月単位でもいいから出すことだ。当社は、何が儲かって何が損を出しているかを、週単位で1アイテムまで分かるようにしている。一生懸命努力しても、赤字の部門をそのままにしていれば意味がない。赤字をなくさないといけない」

「2023年2月期は、売り上げ1兆円に400億円程度足りない。1000店には60店舗くらい足りない。1~2年は遅れるが、そのことは大したことではない。次は3兆円、3000店を目指す。1兆円は海外で、1兆円は国内で、あと1兆円はM&Aで対応する」

「意欲には数字が入らないといけない。努力すればできることは、ビジョンとは言わない。数字の入らない仕事は趣味、遊びだ。問題を発見しないと堕落した生活が始まる。ここにいる塾生たちは、会社で一番問題を発見する人でないといけない。小さな問題ではなく、大きな問題を発見することだ。小さな問題を見つけて解決しても、時間とお金がかかるだけ。売り上げが、変わるような大きな問題を発見しなければならない」

「問題を発見したら、社長が改革案、改善案を見つける。社長以下みんなで改善案、改革案をつくっても、また違う問題が出てくる。もぐら叩きの繰り返しだ。それだったら遊んでいた方がいい。今までのやり方を改善しても、たかが知れている。森を切り開いて新しい道をつくるような、新しい改革案を発見してそれを部下にやらせることだ」

「仕事は時間の長さではない、当社は残業といっても月7~8時間。非残業対象者でも17時間か18時間。長く残業しても疲れるだけで改善、改革ができにくくなる。以前は夜遅くまで残業させていたが、それは間違いだった。時間内で仕事をやるのが一番いい。空いた時間に勉強することだ」

「『無理です』とか、『前例がない』と言う人はすぐ交代させる。そういう人と話していてもどうしようもない。言い訳を言う人やできない理由を言う人は、私の前からすぐ交代させる。ありとあらゆる方法を考えて、できる方法がないかと探すのが仕事だ」

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