(写真は、経営未来塾の塾生や来賓との記念撮影)

「当社は、今は多角化しているが、最初はあれもこれもしない方が良い。集中することが大事だ。売り上げ50億円までは多角化してはいけない。海外出店は、1000億円、100店以上になるまでやってはいけないと渥美先生に言われて、それを守った。集中して一つの事業に取り組んだが、他の事業の準備はしていた」

「誰よりも早く実行することが成長に繋がる。私は何でも常に先を見る。30年先のビジョンをつくる際には、10年先がどうなるかをいつも考える。ビジョンをつくらないと先読みができない。ありとあらゆる仕事は、いかに先を見るかだ。先にやったものが勝つ。過去とか現在しか見ていないのでは、絶対に競争に負ける」

「消費者の不平不満を見つけて、その課題を解決していくことが商品開発につながる。Nクールという寝具商品は年間1000万枚、200億円以上の売り上げで営業利益は40~50億円出ている。開発に至ったのは、私の経験だった。17~18年前に東京に出てきた時、夏は寝苦しくて、北海道に帰りたいと思った。でも、全国展開するためには東京に住んで、東京の競争を肌身で感じないとだめだと言い聞かせて踏ん張った。でも夜は暑くて寝苦しい」

「冷やっとするような繊維はないかと商品部に話したら、『日本にはない、海外にもない』と。『そんなことはない、探し方が悪い。できなければ交代だ』と調べさせた。それから担当者は真剣になって、3ヵ月後に『できました』と持ってきた。触ってみると確かに冷やっとする。旅行に行った時、大理石を触って冷やっとした経験から、大理石を粉にして繊維に練り込んだというものだった」

「発明発見とはそういうもの。好奇心に基づく諦めない執念だ。Nクールという世界初のものができたが、年間30万枚売れないと採算に乗らない。最初は3万枚しか売れなかった。石の上にも3年、風雪5年、苦節10年というように、最低でも5年間はやるぞと。2年目で10万枚、3年目で30万枚になり、ようやく赤字を脱した。次の年は50万枚、その次の年は100万枚、300万枚、500万枚、1000万枚と増えていった」

「そのうちに、もっと冷たいものを開発しようとNクールスーパーを作った。使っている人たちは、必ずもっといいものを欲するようになるという確信があった。『Nクールダブルスーパーを作っておけ』と指示した。今ではNクールダブルスーパーが全体の5割近くを占めている。担当者が、『Nクールダブルダブルスーパーを作りました』と持ってきたが、それはやりすぎだからやめようということにした」

「当社の幹部には、即決即断、10秒で決めろと言っている。7割の成功率というけれど、私は2割、3割でも良いと思う。2割か3割の成功率を5割、7割、10割にすることがトップや役員の仕事だ」

「先客後利という言葉を私は使っている。利益は考えるな、赤字にならなければいいと社内で言っている。先にお客の利益を考え、自分たちの利益は後からで良い。利益のことを考えなくても、後から結果的についてくる。売り上げは上げるのではなく、上がってしまうもの、利益は出てしまうもの。常にお客さまのことを先に考えることが重要だ」(終わり)



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