「リーマンを超えた保証承諾額、コロナ対応スピーディーに」北海道信用保証協会・山谷吉宏会長インタビュー

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 ーーコロナ支援に関連して民間金融機関の無利子・無担保融資も始まっています。

 山谷 私ども協会は、保証料を利用企業からいただいていますが、8割は国に再保険という形で納めているので、私どもが頂戴する保証料の2割分を下げても残った8割があるとやはり高いという印象を持たれてしまいます。心理的負担が最初にあると、利用促進に繋がりません。保証料を減免や無料にしてほしいと、全国の信用保証協会が国に要望していましたが、そうした声に応えて5月から始まったのが制度融資を活用し、民間金融機関にも広げた実質無利子・無担保、保証料無料の融資です。3年間据え置きで、有利子になるが追加2年間の据え置きができるという限度額3000万円の融資制度。経済産業省が都道府県の制度融資に補助を行うことで、民間金融機関のこの融資を可能としたものです。

 運転資金として利用する場合、道内なら平均1500万円くらいの借り入れが必要だと試算しています。以前に有利子で1500万円を借りているとすれば、この融資を使って借り換えをして前の借り入れを整理すれば1500万円が当面元本据え置き、無利子で使えます。この取り扱いをスピーディーにシステム上の処理もできるようにして5月1日からスタートしました。各金融機関との連携もうまくいって窓口での説明も円滑に進んでいます。
 道もコロナ対策で3000万円を無利子無担保、保証料なしで対応する制度を設けました。先々を見通せないため資金を調達しておきたいという企業は多く、1件あたり平均1500万円くらいの借り入れだったのが、今は平均2000万円くらいになっています。

 ーー保証の申し込みから承諾までのスピードも要求されます。

 山谷 申し込みに必要な書類もかなり簡素化しました。通常保証に関しては4月1日から本店の課長、支店では支店長に権限を下しています。また、本店の保証部はこれまで保証1課、2課のほか各課の中に経営サポートグループを置いていましたが、申し込みの増加に備えて同日付で5課に分けました。金融機関から書類が届いたら即日、長くても2日で保証承諾を出しています。申請を受けて承諾した率は常に8割以上をキープしています。
 コロナ関連の保証申し込みは、小規模事業者が多く、初めての利用が3割ほどになっています。これまで保証協会を使った借り入れしていなかった事業者の利用が多いのです。普通なら日銭で回っていく事業者も、家賃の支払いや従業員の給料を払わなければならず、助成金・給付金が入ってくるまで待てないため保証付きの借り入れを行うケースです。「うちの規模で保証協会を使ってもいいんだろうか」という問い合わせも多い。コロナで影響している中小企業や零細企業、個人事業主、フリーランスを支援するための制度なので使ってほしいと思います。

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