――多店舗展開は目指さないということですか。
野尻 今夏のショッピングセンター内への出店以降は増やそうと考えていません。北海道は、札幌圏の9店舗で良いと思います。店舗を増やすよりも『北海道のパン屋と言ったらどんぐり』と言ってもらえるようにブランドをしっかり確立したい。その次に考えているのは本州に1店舗、海外に1店舗を作ることです。札幌のパン屋に就職すると、海外に行く機会などありません。しかし海外で1年間だけでも生活することは、人生の大きな勉強になります。私も高校を出てからカナダで生活しましたが、あの時の体験はとても貴重でした。従業員にはぜひそういう経験をしてもらいたい。私が一番力を入れているのは、当社のスタッフが自分の人生を自分で楽しくする力を身に付けるということ。これが社長として最大の課題です。
――ちなみに従業員の平均年齢は何歳ですか。また全体では何人くらいいますか。
野尻 160人いる正社員の平均年齢は28歳くらいです。パート、アルバイトを含めると約500人がこの会社に在籍しています。
――最後に、社長の経歴を教えてください。
野尻 北海高校を卒業したあとは職にも就かずフラフラとしていました。ほんとなんですよ(笑)。語学留学を名目にしてカナダに行きましたが、ほとんど学校には通いませんでした。自分の息子がこんな風だったら絶対に許さないというような生活をしていました。働くこともしていなかった。毎月仕送りをしてもらって、普通ならあり得ないですよね。
高校までは、自宅のある白石区から出なくても良いような生活をしていましたが、カナダではいろんな国の人たちといつも遊んでいました。あとから考えるとその生活が転機となったようです。帰国後に1年間だけタスコシステムの『居酒屋高田屋』でアルバイトとして働きましたが、25歳の時にどんぐりに入りました。本店のあるここは、1階が工場で2階と3階が自宅でしたから幼少期からずっとどんぐりと一緒だった訳です。私の原点はここにあります。
――本日はありがとうございました。