「きのとや」長沼昭夫会長インタビュー 「北海道お菓子フェアを楽しんでほしい」

経済総合

IMG_4244(札幌の駅前通りをスイーツ通りにしたいと言う長沼氏)

 ――北海道の菓子業界の課題はどんなところにありますか。
 
 長沼 課題はいくつもあると思いますが、私はこういう運動は急いではダメだと思っているので、本当に北海道がスイーツ王国になろうと思ったら20年、30年はかかるでしょう。全国のみならず世界中から認知されるようになるためには、例えば札幌の駅前通りが“スイーツ通り”と呼ばれるようなオシャレな通りになることが必要だと思います。
 なんとなく歩きたくなる、歩いていると楽しくなるような通りになればいいなと思います。実際、駅前通りにはお菓子屋さんが増えています。新幹線が札幌駅に乗り入れるころには“スイーツ通り”が実現していればこれほど嬉しいことはありません。
 
 ――スイーツやお菓子でマチが賑やかになっていけば良いですね。
 
 長沼 北菓楼さんも六花亭さんも札幌に立派なお店を出しました。これも札幌をスイーツ王国にしようという運動の一つの成果だと思います。有名な力のあるお菓子屋さんが札幌にも本拠地を置かなければというように思ってくれている。しっかり地に足を着いたお店を作りたいという思いを北菓楼さんや六花亭さんが持ってくれたのは、それだけ札幌に期待しているということでしょう。我々はもともと札幌なので、競争相手が増えるような気がしますが、むしろプラスの効果が大きいのではないでしょうか。切磋琢磨して良い競争を繰り広げて、ぜひ札幌をスイーツ王国にするために連携していきたいと思っています。
 
 ――ところで外国人観光客の北海道のスイーツやお菓子への反応はいかがですか。
 
 長沼 他の店はよくわかりませんが、「きのとや」の店舗に関しては、日にもよりますが、お店によっては海外の方が半分ぐらい占めることもあります。新千歳空港や地下街ポールタウンのお店は、海外の方が並ばれることがとても多いですから。
 
 ――そうしたインバウンド需要を盛り上げるためにSNSの発信などはされているのでしょうか。
 
 長沼 まだそこまでは手が回っていないですね。ほとんどが口コミです。あの方たちの口コミはすごいですから。ただ、正直言えばインバウントの消費がどこまで続くのかということもありますし、私としてはあまりあてにするのは少し違うかなと思います。
 
 ――さて、三重県の次の2021年全国大会菓子博覧会には手はあげるのですか。
 
 長沼 実は全国菓子博は見直しが検討されているのです。これまでは4年に1度の開催でしたが、5年とか6年に1度でも良いのではないかという声が強くなっています。それと、これまではどちらかというと和菓子屋さん中心で開催されていました。100年以上続いてきている菓子博ですから、日本伝統の工芸菓子とかそういったものが展示されたりします。
 しかし世の中が変化する中で、和や洋などと分けること自体に意味がなくなってきています。主催者サイドにも洋菓子関係者が増えています。前回は広島開催、その前は姫路での開催でしたが、姫路は兵庫県なので洋菓子が強い地域。姫路の菓子博から洋菓子関係者が徐々に増え始めてきました。来年の三重県開催が終わってからについては、全菓連の中で菓子博の在り方をもう一度議論することになっています。その方向が決まってからの対応になると思います。ちなみに6年も7年も先の話になるので、少なくとも私たちではなくて次の世代の方々が担うことになるでしょう。(終わり)

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