豊月・豊岡総一郎社長インタビュー「会社を基礎から再構築」「生鮮市場で差別化徹底」「独立系でやっていける」

流通

 ーー部門の垣根を超えるというのは、どうイメージすればよいですか。

 豊岡 例えば、水産コーナーに他部門の商品を置くということは、なかなかできません。各部門が売り上げを追う中で、どうしても抵抗があるからです。例えば水産系惣菜なら、通常は水産部門が惣菜も作って、水産コーナーに置いて前年比を超えるようにしますが、当社は連携しながら惣菜部門が作って対応しています。

 ーー水産系惣菜は、水産部門が売り場の素材を使って作り、惣菜売り場は惣菜担当者が独自に仕入れて作っているのが、一般的なスーパーだと思います。縦割りの最たるものですが、「フードD」では、惣菜部門が水産部門の材料を使って作るなど部門の垣根を超えているということですね。

 豊岡 そうです。その方が新たな設備投資もいらないですし、コストメリットもあります。「生鮮市場」では、精肉部門も強くなっています。2026年5月は、精肉売り上げが前年同月比116%、鮮魚も116%でした。他社が、鶏肉などの値上げで苦戦している中、当社は顕著に精肉部門が伸びていると思います。

 私は、鮮魚部門も担当していますが、生鮮部門全体をどう伸ばすかということに注力しています。精肉部門は利益部門でもあるので、それを伸ばすことによって、生鮮構成比と生鮮4部門の相乗積(部門が店舗全体の利益にどれだけ貢献しているかを示す数値)も伸ばそうと考えています。

 ーー「生鮮市場」は、生鮮の品数も豊富です。

 豊岡 そうですね。各スーパーでは、生鮮全体を見渡すと品数を豊富に揃えることは難しいと思います。当社では、例えば精肉のマネージャーがホルモン系など差別化できる商品で、PI値(客数当たりの購買点数)の関係で、なかなか置くことが難しい内臓系の肉も仕入れて販売するなどしています。

 ーー小回りが利くということですか。

 豊岡 逆スケールメリットというわけではないですが、流通量がそれほど多くなくても、当社であれば全店に揃えられるだけの物量を確保できる商品がありますから。

 ーー豊月は1月期決算(2026年1月期売上高は約150億円)ですが、2026年7月までの上期の状況は、いかがですか。

 豊岡 上期の売上高は、前期比約107%です。「生鮮市場」は、業態変更して1年以上経っている店舗もありますが、5店舗全体で120%くらいで着地すると思います。利益面でも、「生鮮市場」が牽引しています。利益率は「生鮮市場」は下がりますが、売り上げの伸長によって利益額をカバーしています。現在は、精肉部門のさらなる売り上げアップを図り、どうやって「生鮮市場」の全体的な利益構造を変えるかということについて管理面も含めて検討しています。

 ーーナフサ不足に伴うトレーなど包装資材の値上がりによる経費増が利益を圧迫しています。

 豊岡 経費面では厳しい状況ですが、先ほど申し上げたように常務と2人で、改めて経費削減に取り組んでいる段階です。この先、最低賃金も1500円になることも想定して、システムやDX化に向けてやらなければならないことがたくさんあります。
 トレーなど包装資材の調達価格は、前年に比べて1・2〜1・3倍になっています。鮮魚部門でも、透明トレーをすべてやめて汎用トレーに切り替えるなど、経費を抑える取り組みを進めています。今後も原油が急騰する可能性があるので、引き続きさまざまな対策を指示しています。

 ーー原材料高と販管費増というダブルの影響で売価を上げざるを得ない環境です。

 豊岡 経費の削減は当然ですが、売価を上げざるを得ない商品もあります。ラルズさんが言っているように、商品に価値を付けて、どうお客さまに納得してもらうか、いわゆる納得価格にしっかり取り組んでいかなければ、利益は出ません。いろんな商品の改廃を進めていかなければならないと思います。

 ーー客数はどうですか。

 豊岡 客数は、「生鮮市場」を含めて伸びています。客単価も伸びているので、全体的に売り上げを牽引しています。昨年度と比べて米の売り上げが大幅に下がっているので客単価は伸びにくくなっていますが、それでも103~4%くらいになっています。客数と客単価の両方が上がっているので、売り上げも比較的堅調に伸びていると思います。

1 2 3 4

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER