セイコーマートが政策説明会を開催、丸谷智保社長が語った戦略を1600文字で高速ダイジェスト

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 セイコーマート(本社・札幌市)の政策説明会が19日、札幌パークホテル(札幌市中央区)で行われた。NB(ナショナルブランド)メーカー約80社のほか金融関係者などが集まった。毎年この時期に開催される政策説明会は、セイコーマートがどのような方向性で商品政策、販売政策、MD(マーケティング)政策を行っていくのを仕入れ先等にディスクローズする場。同社の丸谷智保社長が語った2013年度の政策を挨拶の中から抜粋する。(写真は、政策説明会で挨拶する丸谷智保社長)
 
「東京、埼玉、千葉、大阪など首都圏、近畿地域の人口は約6000万人だが、それ以外の地域に住む6000万人にどう着目するかがマーケティング上、重要だ。北海道を拠点とする我々からすれば、確かに人口密度からいって非効率かもしれないが、逆に地方をターゲットにすれば商機ができる。現在、道内179市町村のうち8月で170市町村をカバーすることになり、道内自治体の95%、人口で99%網羅することになる。物流面では1日累計4万㌔を走らなければならないがグループ全体でカバーしている」
 
「小売業の立場から店舗内の販促、棚における販促も専門性をもっているのではないか。自分たちでやっているだけに皆さん(NB)の苦労はある程度理解できると自負している。フランチャイズから直営化を進めてきて現在65%を直営店が占める。直営店が多いため政策が行き届くメリットがある。もちろん売り上げを伸ばしてその利益の中から投資回収を図るが、それと共に店舗としての価値をできるだけ皆さん(NB)に知っていただきたい」
 
「箱としての店舗ではなく、1日63万人が来店してくださるお客様こそが皆さん(NB)や我々にとっての大きな価値。クラブカード会員は405万人になり定着している。63万人とクラブカード会員に代表される固定客に支えられている。そのロイヤルティの高さを証明するものとして、先般、コンビニ部門で3年連続顧客満足度1位を獲得させていただいた。ロイヤルティの高い固定客の支えがあってこそ、こういった賞を連続でいただいているのではないかと思う」
 
「顧客満足度1位のポイントは知覚価値だと思っている。買って美味しかった商品、この商品こんなに安かったのかなど、自分が払った対価に返ってきた知覚がプラスになるのが知覚価値でこれが顧客満足度をあげる。このことで我々を評価していただいて、顧客満足度が全体的に上がっていると考えている」
 
「ホットシェフという店内調理で温かい商品を提供するユニークなカテゴリー持っている。ホットシェフを買い求めるお客様の来店は全体の2割。これは他のコンビニにはないのでホットシェフは来店客のマグネットになっている。ホットシェフを利用するお客様の8割が飲料水も買い求める。ホットシェフやワインなどセイコーマートでなければ買えないという、特徴的な新たなマグネット商品を如何に持てるか。これによって商機が分かれていくのではないか」
 
「ややオーバーストア気味になっているコンビニ市場の中で、こういうマグネット商品を持っていると新商品にしても既存商品にしてもこれを定番化することが可能だ。また直営店が多いということは、販促政策にしても商品政策にしても隅々まで行き届き、配荷率の高さにも繋がる」
 
「食品マーケットは大きな変革期だ。北海道の65歳以上の人口は24%。50歳以上の人口は48%。そうすると30、40歳のころに比べて食べる量が減り人数は変わらないが胃袋の全体量が小さくなっていく。食品マーケットに関しては人口減よりこっちのほうがスピードは速く進む。この減り方こそが最も懸念すべきことだが、これに消費税増税が追い討ちをかけてくる。人口構成が大きな足かせになっているのが実情だ」
 
「今後、ただマージンをスクイーズするだけでなくて知覚価値を満たしクオリティを落とさないことをするためには、グループ全体、仕組み全体で社会の情勢を踏まえた価格政策を実施していくということが重要。このことが当社のRB(リテールブランド)だけでなく皆さんのNBもこれからの時代を乗り切っていくことに繋がっていくのではないか」
 
「厳しい時代ではあるが、特徴のあるカテゴリーをもつ地域に密着したセイコーマートとNBの皆様方と手をとりあって協働していくことで、お互いの価値が生み出していけるのではないか。その中からNBとしての定番商品が定着していくのではないかと考えている」

 

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