「キテネ食品館」中塚誠代表取締役インタビュー、「月寒店出店の狙い、大手スーパーとの戦い方」

流通

 ーー「月寒店」は、初年度でどれくらいの売り上げになりそうですか。
 中塚 「手稲店」の売り上げの7割が当面の目標です。何が良くて、何がいけないのかなど、見極めて修正しながら展開していきたい。

 ーー「月寒店」はどんなイメージになりますか。

 中塚 陳列棚や冷ケースは、今の時代に合ったものにしますが、店舗の雰囲気や店員の接客は、「手稲店」と同じように昭和のイメージを踏襲します。地域に密着して、よく来てくれるお客さまには、「良い天気ですね」、「可愛いお孫さんですね」とか、ちょっとした会話をするようにしたい。年配の方々の中には、誰とも話をしない方もいらっしゃるので、会話を通じて親しみを持ってもらえるようにしたい。
 大手スーパーには、接客にもマニュアルのようなものがあって、必要以上のことは話してはいけないようです。でも、私は率先してお客さまや社員、パートナー従業員と話します。そうすると、お客さまの印象として、「この店は明るい、元気」となって「楽しい」になっていきます。それが次の来店にも繋がると、私は思っています。

 ーー「キテネ食品館」のモットーは。

 中塚 うちの店のモットーは、小学校1年生で習うことですが、「明るく楽しく元気良く」です。常に冗談も言い合えるぐらいの距離感でいると、従業員同士もすごく仲が良くなります。それぞれ法人格も違って、雇用主も違うのですが、キテネの中で働いているという一体感が生まれます。そうすると、お客さまからも声を掛けやすいようです。

 ーー法人格がそれぞれ違いながらも、一つのスーパーの統一感も必要です。4法人が競い合う部分もあると思います。

 中塚 お客さまの買い物かごの中に、それぞれの法人の商品がどれくらい入っているかで、各法人の売り上げが決まります。ですから、自分たちの商品を1点でも多く買ってもらうにはどうしたら良いか、という戦いが日々繰り広げられます。

 ーーそういう相乗効果はあると思いますが、逆にやりにくさもあるのでは。

 中塚 もちろん、それぞれ法人にはトップがいるので、考え方は一つではありません。各部門のトップはそれぞれ我が強い(笑)ですから、上手にバランスをとりながら、対応していくことも必要になってきます。

 ーー中塚さんの経歴は。

 中塚 私は高校卒業後に、スハラ食品に入り3年ほど勤めました。ある日、パチンコ帰りに寄ったコンビニで、たまたま「キテネ食品館」の前身である「松井ストア」の求人を見ました。高校時代に、あるスーパーでレジのバイトをしていたこともあって、「スーパーは面白いかもしれない」と20数年前に入社しました。その後、2年で店長になりましたが、10年前に松井ストアが分社化、現場は「キテネ食品館」が担当することになり、代表取締役に就きました。

 私事ですが、篠路に本社がある「マルコストアー」の山川悟史社長とは高校の同期です。学級は違いましたが、互いの友達を介して仲良くなり、高校時代もよく遊んでいました。偶然にも、同じスーパー業界に身を置くことになりましたが、山川さんは私の中では業界のトップスターです。仕入れについては、いろいろと協力してもらっています。

 ーースーパー激戦の札幌ですが、小粒ながらもきらりと光るスーパーがあります。

 中塚 「キテネ食品館」が、頑張っていけるのは、山川さんがいるおかげもあるのです。それは、書いてもらってもいいですよ(笑)。山川さんには、本当に助けてもらっていますから。

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