札幌・篠路の地域密着スーパー「マルコストアー」山川悟史社長インタビュー、「新本店で地域密着をさらに強める」

流通

(写真は、2024年5月27日にソフトオープンした「マルコストアー本店」)

ーーどんな店舗を目指していますか。

山川 今までのマルコストアーには、「物が良くて安いけど、混み過ぎている」とか「カートがなくて不便」、「商品が全部揃わない」という声もあった。そうしたことを一気に解決できるような店舗にした。小さなお子さま連れの人たちが買い物に来られないこともあったが、店舗はバリアフリーにしており、多目的トイレも設置するなど、トイレはホテルのようにきれいにした。品質の良いものを買い求めやすい価格で提供することが当社の理念。こだわりの良いものは、それなりの値段も付けるが、安くできるものは徹底的に安くする。

ーー売り上げ目標は。

山川 旧本店の2倍、年商13億円を狙っている。セミセルフレジ5台、精算機8台を導入、駐車場の収容台数も85台に増やした。40数人で運営していく。「東苗穂店」は年間13億円弱の売り上げがあるので、2026年2月期は、2店舗で年商27億円を目指す。

ーー篠路に近い屯田地区には、安売りの「ロピア」が出てきます。大手スーパーとの競争にどう立ち向かう。

山川 昨年、一昨年と「ロピア」の10数店舗を見に行ってきたが、「ロピア」の売り方は、日本版「コストコ」のイメージ。当店は、地域密着でお客さまの顔が見える商売を徹底、生鮮やインストアの惣菜に常に手を掛けていく考えだ。そうしないと大手とは戦えない。あとは、どのスーパーも同じだが、徹底したローコストオペレーションを追求する。コストが高くなると、どうしても売価にも跳ね返ってしまうからだ。売り上げを増やせば、コストは下がるので、お客さま目線で売り上げを増やすために、どうしたら良いかを常に考えるようにしている。

ーー地域の独立資本のスーパーは、大手との競争に苦戦している例もある。

山川 当社は、先々代の創業時から1期も赤字を出したことがない。今回、建て替えのために借り入れをしたが、ほぼ無借金経営だ。店舗運営では、常に敏感に対応していかないと、お客さまは飽きてしまう。原点回帰、お客さまの立場になって考えれば、スーパーの答えは自ずと出る。「本店」も「東苗穂店」も近くには大手スーパーがあり、DS(ディスカウント)の激戦区でもある。
そうした中で、当社は戦い抜いてきた。お客さまは、いろいろなスーパーに行きたいもの。あっちがやったから、うちも下げるという価格競争をしても意味がない。当社の店舗にお客さまは何を求めているかということを徹底的に考え、そこを強化していく。

ーー電子マネー「マルコカード」を導入しました。

山川 スーパーで一般的になっているポイントカードを導入しても、お客さまからは「マルコさんも入れたのね」という程度にしか思われない。一般的に、スーパーのポイント還元率は0・3%程度だが、今回導入した電子マネー「マルコカード」は、本体価格で1%の即引きなので、還元率という点では相当に高いと思う。その代わり、当社では5%オフや特売日を設けていない。いつ当店に買い物に来ても同じ値段ということが大切だ。だから、タイムサービスなどもやっていない。

ーー他のスーパーとの商品価格差は。

山川 1割以上は安いと思う。モノによっては、当社の方が高い時もある。固定経費や一人当たりの作業効率などを工夫して、販管費は大手スーパーより低くしているため、粗利率が大手ほど高くなくても成り立つモデルだ。メーカーや卸からは、今回の本店について、「他の単独資本のスーパーに夢を与える店舗」と言ってもらった。当社の従業員は、30代~40代前半が多い。先のある人たちが多いので、新本店を軌道に乗せて収益を確保できれば、次の店舗展開を考えたい。(終わり)

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