札幌市北区篠路2条5丁目の地域密着独立資本のスーパー「マルコストアー」が、本店をおよそ60年ぶりに最新店舗に建て替え、2024年5月31日(金)にグランドオープンさせる。既に同月27日からソフトオープンしており、お客の反応も上々。運営する丸コ マルコストアーの山川悟史社長(49)に、本店建て替えの狙いや「ロピア」参入など、激化するスーパー競争の生き残り策などを聞いた。《やまかわ・さとし》1974年12月、札幌市生まれ、49歳。手稲区の高校卒業後に札幌中央卸売市場の仲卸、森哲入社。6年半勤めた後、丸コ マルコストアー入社。取締役を経て7年前に社長就任。
ーー八百屋時代から展開してきた築60年以上の旧本店を建て替えました。
山川 旧本店は昭和30年代に建てられたもので、狭くて品揃えが十分にできなかったうえ、買い物カートも使えなかった。冷凍食品やアイスクリームなども低圧電力の設備だったので、置くことができなかった。お客さまの不便さをどう解消していくかを検討し、大手スーパーと遜色ない品揃えの店舗をつくろうと、建て替えに踏み切った。旧店舗は、篠路駅前開発に引っかかっていたため、いずれは建て替えなければならなかった。
ーーこの時期を選んだ理由は。
山川 駅前開発でセットバックしなければならないということで、15年ほど前に隣接地を手当てしていた。具体的に動き始めたのは2019年だが、コロナ禍になったため様子を見て、2022年5月に着工した。建設費は、土地代を除いて約11億円。当時も建築費の高騰が始まっていたが、下がる要素はないとみて、着工に踏み切った。今頃、着工していたらこの価格では済まなかった。
ーー新本店は、かなり広くなって品揃えも大幅に増えました。
山川 旧本店の売り場面積は80坪しかなかったが、新本店は約250坪と3倍の広さになった。SKU(在庫保管単位)は、8000から1万アイテム増えて、2万強になっている。生鮮の売り場を広くとっており、青果と鮮魚は対面方式にして、旧本店のお客さまと顔の見える関係を残した。そこが「マルコストアー」の良さだと思っている。商品の価格だけではなく、地域密着が強みなので、新店舗でもその良さを生かす。
大手スーパーは、アウトソーシングやセンター化によって、オペレーションの効率化に力を入れているが、当社のような単独企業は、お客さまに近いことを訴求していかないと戦えない。泥臭く、大手ができないことをやっていく。鮮魚コーナーには、縦型のオープンタイプの冷凍ケースを導入した。縦型オープンタイプの冷蔵ケースを導入しているスーパーは多いが、冷凍ケースでこうした使い方をしているところはあまりないと思う。
旧店舗は、若年層のお客さまが少なかったので、新店舗ではいかに若いお客さまを取り込むかも考えた。当社は旧本店以外、居抜き出店しかしたことがなかったため、3~4年前から東京の大手スーパーを参考に、店舗をどうつくっていけば良いかを検討して進めた。
ーー新たに惣菜の取り扱いも始めますね。
山川 旧店舗では、惣菜の要望があったものの、バックスペースや売り場スペースが確保できず、取り扱えなかった。新本店では、スぺースを確保できたため、取り扱いを始めた。既に、リニューアルした「東苗穂店」(東区東苗穂9丁目14-26)にも供給している。本店で一括してつくることによって、設備や食用油などコスト低減を図る。
ーー惣菜の種類は。
山川 中身を吟味して絞ったアイテムから始める。1品当たりの生産個数を増やし、今後の販売状況を見ながら、バリエーションを増やしていく。推しの惣菜の一つは、「三元豚ロースのカツ重」。精肉部門が仕入れた肉をバックヤードで切り、その生肉を使ったロースカツ重を提供する。普通のスーパーは、冷凍の衣の付いたカツを揚げるが、当店では生肉に衣を付けて揚げる。味もいいし、量感もあるが、価格は298円で販売する。鮭弁当は、東洋水産の「俺の塩」というブランド鮭を使う。また、カレー専門店「ボナンザ」で、当店オリジナルのルーを仕込んでもらい、それを使った「濃厚チキンカレー」も販売する。おかず関係では、揚げものをメインに焼き魚関係も揃える。本店のみで、寿司も提供する。いずれにしても、惣菜は後発なので、マルコストアーらしさを出していきたい。