2024年の北海道スーパーマーケット業界は、「イトーヨーカドー」や「西友」の北海道撤退、安売り「ロピア」の進出、「イオン」のGMS(総合スーパー)寡占など、まさに地殻変動序章とも言えそうな年になりそう。そんな中、2024年にこれから開くスーパーを整理してみよう。(写真は、2024年5月31日にスクラップ&ビルドでオープンする「イオン北郷店」のイメージ)
桜が散り、新緑に覆われる5月。北海道にとって、最も過ごしやすい季節に室蘭でオープンするのが、低価格が売りの「業務スーパー室蘭店」(室蘭市東町2丁目22-16)。2024年1月8日に閉店した「西松屋室蘭東店」店舗跡に居抜き出店するもので、当初は4月中としていたがやや遅れる。運営するのは、「業務スーパー」のフランチャイジー、ケヒコ(本社・横浜市中区)。同社にとって、道内7店舗目の「業務スーパー」になる。西胆振には初出店で、他には売っていないPB(プライベートブランド)加工食品などを求める熱心な「業スーファン」にとっては、待ちに待ったオープンとなりそう。
5月下旬に、札幌市北区篠路2条5丁目10-1にスクラップ&ビルドでオープンするのは、「マルコストアー本店」。旧店舗が老朽化していたため、隣接に移転新築。店舗面積は約250坪で、現本店の3倍の広さになる。同店は、地域に密着した小型スーパーで、根強い人気がある。旧店舗は、2024年2月末に閉店しており、旧店舗を利用していた買い物客らには、待ちに待ったオープンとなりそう。
5月31日には、札幌市白石区北郷2条7丁目336-5ほかで「イオン北郷店」がオープンする。イオン北海道(本社・札幌市白石区)が、展開していた「マックスバリュ北郷店」をスクラップ&ビルドで新設した店舗となる。鉄骨造2階建て、店舗面積は合計で約743坪(2454㎡)。同社が展開するスーパーの中で、「イオン」の屋号が付くのは昨年11月にオープンした、旧「マックスバリュ平岸店」の建て替え新店である「イオン南平岸店」(同市豊平区)に続いて2店舗目。ヘルス&ビューティーのカテゴリーを増やした店舗になる予定で、新たな客層も引きつけそうだ。
7月に入り、上旬に室蘭市東町1丁目8-1でオープンするのが、ディスカウントストア「スーパーセンタートライアル室蘭東店」。日本製鋼所が、自社の土地を利用して2000年に開発した「弥生ショッピングセンター」内にあった「DCM弥生店」跡に居抜き出店する。この店舗の目の前には、「マックスバリュ室蘭東店」が営業しており、両店舗の真正面対決が始まる。今後の道内スーパー勢力図を占う局地戦が展開されそう。
苫小牧市清水町1丁目40-4の北海道パワーエンジニアリング(本社・札幌市中央区)社宅跡地では、「マックスバリュ苫小牧清水店」がオープンする。同じ敷地内には「ツルハドラッグ」、「ペットワールドPROX」もオープンすることになっている。「マックスバリュ」は、苫小牧市内で7店舗目となり、地域一番店を盤石にする店舗となりそう。
中旬には、十勝地区に初めてイオン北海道のディスカウントスーパー「ザ・ビッグ」がオープンする。「マックスバリュイーストモール店(帯広市東4条南16丁目6)を「ザ・ビッグイーストモール店」に転換するものだが、この店舗は十勝地区の安売りに火をつけそう。ディスカウントのトライアルは、十勝地区に既に2店舗を出店しており、「ザ・ビッグ」の展開によって十勝地区は、ダイイチ、福原の地場勢とイオン北海道、トライアルの激突が予想される。
下旬頃にオープンするとみられているのが、旭川市永山2条6丁目の「業務スーパー永山店」。「DCM永山店」に隣接してオープンし、ホームセンターと食品スーパーの相乗効果によって利便性を高める。運営するのは、三ッ輪商会(本社・釧路市)。同社は、釧路市や旭川市で「業務スーパー」を2店舗FC(フランチャイズ)展開しており、同社が手掛ける「業務スーパー」は3店舗目。他のフランチャイザーの「業務スーパー」を含めると旭川市内では3店舗になる。
帯広では「イトーヨーカドー帯広店」が、2024年6月30日に閉店する。後継店舗のダイイチは、それほどの間を置かずに出店するとしている。こちらは、7月末頃から8月末頃にかけてのオープンになりそう。(以下、秋・冬編に続く)