根室の地場スーパー「マルシェ デ キッチン」、地元客の支持を集め地域一番店

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 根室市の地場スーパーマーケット「マルシェ デ キッチン」(根室市大正町1丁目32-1)が、地域一番店として地元買い物客の支持を得ている。「イオン根室店」や「コープさっぽろねむろ店」、「ホクレンショップ根室店」が展開する中、鮮度、味、価格の競争力を磨き、地域の買い物ニーズをつかんでいる。売り上げが伸びている惣菜部門を強化、現行の地域40%のシェアを数年後には50%まで高める意向だ。(写真は、マルコシ・シーガル早川元代表取締役)
(写真は、「マルシェ デ キッチン」の外観)

「マルシェ デ キッチン」を運営しているのはマルコシ・シーガル。同社は、現社長の早川元氏(43)の実父が、1982年に創業したスーパー運営会社。実父の実家は、旧根室生協(現クリエ)を経営。実父も一時、そこで働いたが独立。当初は、昭和町で約150坪の「マルコシ・シーガル」を展開していた。会社名のマルコシは、実家の屋号から取ったもので、シーガルは「カモメ」の英訳。「当時、スーパーといえば鳩のマークが多かったので、根室といえばカモメだろうと“シーガル”としたようです。こうした他のスーパーと一線を画す精神が、現在のスーパー経営にも踏襲されています」と早川元社長。


(写真は、「マルシェ デ キッチン」の店内)

 根室市役所の斜め前にある現店舗がオープンしたのは、2004年2月。サンクリエーション(本社・大阪市中央区)の横山和夫氏の設計協力を得て、売り場面積約450坪の「マルシェ デ キッチン」をオープンさせた。店舗レイアウトは、回遊性を高めることを目的に、小さな市場が軒を連ねているようなイメージにした。通路を斜めに設けるなど商品を選ぶ楽しさが、体感できるようなレイアウトになっている。同様のレイアウトを持つ店舗には、「ベーシック駒場店」(網走市、現在は道東アークス運営)や「札幌東急ストア自衛隊前店」(札幌市、現店舗名東光ストア、東光ストアが運営)などがある。同社はその後、札幌にも店舗がある全国系の「生鮮市場」グループに加入、同グループによる商品共同調達を行っている。

 当初は、ここでしか買えないような珍しい商品を並べたり、品質の良い商品を多く揃えたりするなどしたが、売り上げは順調には伸びなかった。厳しい経営が続いていた2007年、子息の元氏が当時勤めていた「ヤオコー」を退職してマルコシ・シーガルに入社、路線をDS(ディスカウント)業態に転換した。DS路線は、市民に受け入れられ、業績は順調に伸びていくようになった。

 2011年に元氏が社長に就任、しばらくはDS路線を追求して売り上げを伸ばしていったが、2012年11月「ホクレンショップ根室店」がオープンするとともに、「イオン根室店」もDS路線に切り替えるなど競争が激化。「DSでは地域で生き残ることは難しくなってきた。地域のカラーを折り込みながら、鮮度、味、価格で特色を出していく路線に転換することにした」と、元氏は2013年頃から現在の路線に徐々に転換していったことを説明する。

 インストアベーカリーは、直営から根室の老舗パン店、山森製パンをテナント導入、惣菜部門を強化するために手作り惣菜の「カモメ厨房」を新設、おにぎりやサンドイッチ、お焼きなどを手掛けるようになった。

 根室市の人口は約2万3000人。スーパーマーケット4店舗がひしめき合う中で、同店は、年商約20億円を堅持、地域一番店の立場を維持している。2024年からは、水産系や畜産系の惣菜商品の新展開も始め、近いうちに地域シェア50%超えを目指すことにしている。また、小売業以外にも、ベトナムで北海道食材を現地飲食店舗に卸す新事業も開始しており、新たな成長に向けた取り組みも始めている。地域の地場スーパーの生き残りモデルとなりそうだ。

※2024年1月23日記事一部修正しました。

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