低価格を売り物に北海道に上陸した食品スーパーの「業務スーパー」だが、登別市ではホームセンターのサンワドーが既存店舗内にフランチャイズ導入、ショッピングセンター(SC)を形成しているマックスバリュ北海道の店舗と競合する事態が起きている。SCにはツルハの店舗もあり「ホームセンター」、「食品スーパー」、「ドラッグストア」3業態の垣根が崩れ、お互いに顧客を奪い合う“SC溶融”とも言える現象が起き始めている。(業務スーパーが出店したサンワドー登別店=写真左。サンワドー、ツルハ、マックスバリュの店舗が並んだショッピングセンター=同右。2013年4月30日撮影)
 
 業務スーパーは、神戸物産(兵庫県稲美町)が全国展開する低価格食品スーパー。これまで北海道以外の46都府県に直営、フランチャイズ(FC)で進出し約650店を出店している。
 
 道内進出は時間の問題とされていたが、食品スーパーではなくホームセンターのサンワドー(青森市)をフランチャイジーに4月下旬からサンワドー店舗内で営業を本格的にスタートさせた。
 
 4月18日には「本通店」(函館市本通)、24日には「上磯店」(北斗市七重浜)、27日には「登別店」(登別市富岸町)に業務スーパーの食品コーナーを設けたが、このうち登別店はマックスバリュ北海道とツルハの3店舗がSCを形成しているゾーン。
 
 サンワドーは登別店の店舗面積のうち5分の1程度(約300坪)を業務スーパーにしており、青果、精肉、冷凍食品、酒、日配品などを揃えている。精肉はバリューネットワークのアウトパック商品。
 
 ホームセンターやドラッグストアが食品を取り扱うケースは増えているが、これまでの片手間商売から食品を吸引力として来店頻度を高めホームセンターやドラッグの本業部分の消費に結び付けていく戦略に転換し始めており、セグメントを絞った食品の品揃えで食品スーパーの顧客を取り込むようになってきた。
 
 ホームセンター、ドラッグストア、食品スーパーといった業態ごとの店舗が集積したSCは、これまで相乗効果による3者共存の構成だったが、今後は互いの顧客を奪い合う3者競争による“SC溶融”時代に突入するかもしれない。
 
 サンワドー登別店内の業務スーパーと競合するマックスバリュ北海道では「地域ごとの世帯に応じたきめ細かいサービスをより強化していきたい」(広報)としている。


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