中空知圏で小型食品スーパーが、相次ぎ閉店している。いずれも人手不足が深刻だったほか、量販スーパーとの競争によって売り上げが減少、設備投資の回収が見込めないなど、複合的な要因が重なった。地域に密着したご近所スーパーは、経営の岐路に立っている。(写真は、2023年10月13日に閉店した「食彩まこと屋」)
(写真は、2023年10月18日に閉店した「ビレッジストアしんとつかわ店」)

 雨竜郡雨竜町の「食彩まこと屋」は、1952年創業の小型食品スーパーだが、2023年10月13日に71年間の営業を終了した。食料品店などのボランタリーチェーンである全日食チェーンに加盟、グロサリー商品や日販品、生鮮品のパック商品の供給を全日本食品から受けるとともに、自社でも滝川地方卸売市場から青果、水産品を仕入れていた。また、惣菜類も店舗バックヤードで製造、弁当の注文も受けていた。広さは約55坪。

 閉店したのは、人手不足に加えて、車で20分ほどの滝川市内の量販スーパーとの競争が主な要因。生鮮品の価格や品揃えでは、こうした量販スーパーには太刀打ちできないほか、地域の人口減少も響いた。「冷凍冷蔵ケースの更新も必要な時期だったが、投資しても回収が難しい。今後、人手不足が解消する見込みもない。他の事業も手掛けていることから、小売事業の閉店を決めた。この地で70年を超えて営業してきたので、苦渋の決断だった」と店舗を運営する梶野商事の2代目代表(51)は語った。

 閉店にあたって、地元商工会や役場とも相談。町は、隣接する北竜町にあるスーパー「ココワ」に週1便の買い物バスを走らせ始めたほか、「高齢者見守り」で協定を締結しているコープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、「宅配トドック」や移動販売車「おまかせ便カケル」の週1回運行も開始、町民の買い物支援に力を注いでいる。

 樺戸郡新十津川町の創業96年の老舗「スーパーSAIGUSA」(新十津川町309-26)を承継した「ビレッジストアしんとつかわ店」も2023年10月18日に閉店した。「スーパーSAIGUSA」は、創業96年の老舗食料品店だったが、2023年1月25日に閉店。同店は、ボランタリーチェーンの全日食チェーンに加盟していたこともあって、閉店後に全日食チェーンが店舗を承継、同年4月11日に「ビレッジストアしんとつかわ店」としてオープンさせた。しかし、オープンから半年で再び閉店を余儀なくされた。

 閉店の理由は、こちらも人手不足。パート・アルバイト社員のうち3人がそれぞれの事情により退職したが、その後、求人をかけても働き手は現れず、少ない人数をやり繰りしてきた。「営業時間の短縮や週1回の休日を設けるなど対応してきたが、売り上げも伸び悩んでいたため、閉店を決めた。全日食チェーンが承継して地域の皆さまに喜んでもらおうと考えたが、期待に沿えず申し訳ない」(全日食チェーン担当者)と話した。
 地方の小型食品スーパーは、人手不足がより深刻になっている。それぞれの地域に密着しているご近所スーパーは、大きな岐路に立っている。


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