「セブンーイレブン」より2年早く、コンビニエンスストアを始めた「セイコーマート」。今年52年目を迎えるが、コンビニの嚆矢(こうし)であることを示すような名残りが今も残っている。屋号の付いた店舗名がそれ。他のコンビニチェーンには見られない「セイコーマートらしさ」が、セコマファンの心に刺さる。(写真は、「屋号」の付いた札幌市北区の「セイコーマートおおば」。FCではなく直営の店舗)
(写真は、札幌市豊平区の「セイコーマートいしづか」。こちらも直営店舗)

 コンサドーレで今季、大活躍する浅野雄也選手。水戸ホーリーホック時代の茨城で「セイコーマート」のファンになり、広島を経てコンサに移籍。ここで偶然の出合いがあった。ススキノにある「セイコーマートあさの店」を見つけ、自分の苗字が付いた「セイコーマート」に親近感が爆上がりしたという。浅野選手が得点を決めると、「セイコーマートあさの店」に“巡礼”するコンサファンもいるそうだ。

「屋号」が付いているのは、酒販店を中心にフランチャイズ(FC)で「セイコーマート」を増やしていった名残りだ。札幌市内には約330の「セイコーマート」があるが、「屋号」が付いているのは今も50店舗を超え、15%を占める。「あさの」「あづま」「いしがき」「いしづか」から始まり、「みやぐち」「よしみず」など実に多彩。

 しかし、こうした店舗は今もFCで運営しているわけではない。「当社の店舗の8割が直営店舗です。屋号の付いた店舗も、半分くらいは直営です」とセイコーマートの担当者。では、なぜ「屋号」を残すのか。「オーナーさんが高齢などで店を閉めたいとなったとき、当社が『屋号』を残して承継することが多いですが、積極的に『屋号』を残そうとしているわけではありません。長年親しまれた店舗名なので、オーナーさんから外してほしいと言われない限りは、継続して使っています」と担当者。

 他のコンビニチェーンの店舗名は、住所地が使われている(「ローソン」は条丁目の丁目を漢字表記)。住所地の店舗名は分かりやすいものの、どことなく記号的な印象がある。「屋号」が残る店舗名は、その店舗の歴史までほのかに感じられて温かい気持ちになる。セコマ愛のヒミツがここにもある。



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