――直営でBOOKコーナーも店舗内で展開しています。
楠美 「東急ストア」時代には直営でBOOKコーナーを展開していましたが、徐々に縮小して減らし、テナントに切り替えていきました。しかし、そのテナントも撤退するようになりました。「北広島店」(北広島市)のテナントが撤退した時は、お客さまの復活要望がとても大きかったので直営でBOOKコーナーを展開することにしました。「麻生店」(札幌市北区)にもBOOKコーナーを開設していますが、以前は衣料品のテナントが入っていたスペースを利用しています。
――BOOKコーナーを積極的に展開しようということではないと。
楠美 まだ直営のBOOKコーナーが数店舗ありますしバイヤーもいるので、出店はそれほど難しくありませんが、採算の問題がないわけではない。ただBOOKコーナーがあることによって集客に繋がり、食品以外の分野でも支持を集められれば、それはそれで良いのではないかと考えています。「北広島店」のBOOKコーナーは、隣接するコープさっぽろさんの「エルフィン店」の書店が撤退したタイミングだったので、現在、売り上げは安定しています。
――2022年2月期決算はいかがでしたか。
楠美 売上高は460億3000万円で前期比1・8%の減収でした。経常利益は9億7300万円で同16・4%の経常減益。目標には届きませんでしたが、昨今の状況下では80点ぐらいでしょうね。
――前期決算から見えてきた課題には、どのようなものがありますか。
楠美 利益の柱になっているのは、デリカです。コロナ禍1年目の年は家庭内調理が増えて食品の素材がよく売れましたが、コロナ2年目は、デリカや簡便商品、冷凍食品に戻ってきました。主婦の家庭での時間の使い方が変わってきていますし、仕事をする方も増えています。求められるものはそういうところなのだと思います。この分野をどう強化するかが課題。この2年間のリニューアルでは、デリカ売り場の拡大を図ってきましたが、着実にその効果が出ています。求められるものを機会損失なく提供していく売り場をどうつくっていくかに尽きます。心配は値上げの問題。消費にどう影響するかを見極めていかなければなりません。特に生鮮食品、水産関係が一番心配です。
――水産関連でロシア産はどれくらいありますか。
楠美 かなりあります。例えばシャケ関係だったらほとんどそうです。いわゆる塩蔵の塩ジャケとか、ウニ、カニなどは非常に多い。消費者の食卓にはかなり響いてくるのではないでしょうか。当然値上げが必要になっていきますし、私たちも利益を出しにくくなります。部門全体、会社全体でどう対応していくかということになりますし、電気料金、燃料費も確実にこの先は上昇していきますから、これも吸収しなければいけません。もちろん賃金も上がっていきます。なかなか答えが見つけにくい状況になっていくでしょう。
――今期の売り上げ計画は。
楠美 ひと言で言えば増収増益を予定しています。日配品系など日常の商品をどう売りこなしていくかに力を入れていきます。様々な値上げがあって、お客さまは価格に敏感になっていますから、商品の価値をあらためて打ち出します。NB(ナショナルブランド)商品はなかなか価値を出しにくいのですが、生鮮やデリカ、日配品の系統は、付加価値を出しやすい面もあるので、そのあたりの領域で売り上げと利益をどう確保できるか、試していこうと考えています。今期の経営方針は、「創業50周年『美しく、優しく、豊かな時代へ』貢献する」です。「改革の年ステップⅢ」と位置付け、変えなければならないものは変え、変えないものは変えないという姿勢で進んでいきます。
ーーありがとうございました。