ーー店舗事業は昨年度は黒字だったが、今年度も黒字になるか。

大見 今年度は赤字に戻る。数億円規模の赤字だ。広告宣伝費が前年度と比べて上昇したのが響いた。

 ーー少ない赤字なら構わないという姿勢か。

 大見 そんなことはない。黒字にするためにどうするかを考えて実行し続ける。昨年度は事業全体で最高益だったが、今年度に入ってオタモイ店と白糠店を閉店した。これからも不採算店舗は閉店する一方、スクラップビルドでの建て替えも行う。そういうことを繰り返しながら、店舗事業の黒字定着を目指す。ただ、店舗がずっとこのまま存続できるかというとそうではない。店舗は償却を含めて30年以上営業するのが一般的だが、新築しても30年先は読めない。札幌圏を中心に出店せざるを得ない。

 ――今年10月に「そうえん店」(札幌市中央区)を出店する。

 大見 「二十四軒店」(同市西区)の年間供給高が34~35億円になっており、駐車場も満杯状態で入りづらくなっており、分店をつくらざるを得なくなった。それを受け、20数年ぶりの復活出店の形で「そうえん店」を10月に出店することにした。「二十四軒店」を出してからも桑園のイオンの売り上げは落ちていない。それだけ周辺ではマンション開発が進み、人口が増えている。桑園地区には、子育て層が沢山おり、宅配拠点の「札幌中央センター」2階にある「トドックステーション」には、いつも若いお母さんたちでいっぱいだ。そうした客層の受け皿として「そうえん店」を開店させる。

 直近では「しずない店」が3月18日にオープンした。「そうえん店」に続いて、日ハム新球場オープンのタイミングに合わせて「北広島店」(北広島市)も建て替える。「そうえん店」も「北広島店」も昨年11月にオープンした「やまはな店」のような「無印良品」とのコラボを想定している。

 ーーコープさっぽろの店舗利用者の中心は中高年世代。若い世代の取り込みは。

 大見 10年経ったら団塊世代は半分になる。北海道の一番のボリュームゾーンが半分になり、毎年高齢人口は減っていく。ボリュームゾーンが半分になっていく中で買い物客の世代交代ができるかということだ。若い世代が利用してくれないと先がないため、アプリの強化などを一生懸命やっている。DXの強化を図るため、元メルカリ、元東急ハンズCIOだった長谷川秀樹さんに2年前に非常勤CIOに就任してもらった。彼を中心にDXを進めて若い客層を取り込んでいく。

 ーー長谷川さんのような人たちを引っ張ってくる手腕がある。

 大見 「来て」と言ったら来てくれる。組織の魅力なのかもしれない。

 ーーセブン&アイがそごう西武を売却、GMS(総合スーパー)も分離可能性が出ている。セブン&アイと資本業務提携しているダイイチを含め、道内スーパー市場はどう変わるか。

 大見 大型スーパーは大変だと思う。イオンが新しいショッピングモールを出店することはほとんどないのではないか。中途半端な3000~4000坪の店もだめなので、はっきりした特徴を持った業態のチェーン店がNSC(ネイバーフットショッピングセンター)の中で出店していくしかない。強敵はweb系のECサイトだ。それが大きくなるのは間違いない。そうなればなるほど、大型スーパーは一番影響を受けるだろう。私たちは、今後も持続的にSM(食品スーパー)を運営していき、地域一番店でハレの日に期待される店舗を今後も狙っていく。単に店数を多くすることはしない。スクラップアンドビルドの範囲内にとどめる。

 宅配トドックは品目数の拡大ができているので、まだまだ伸びる。宅配トドックさえ利用していれば生活でき、全然困らない状態になる。宅配トドックと店舗で現状維持のままいければ、商圏の中で人口が減少しても残っていける。ネットとリアルの両輪で既に進んでおり、宅配事業の供給高は店舗事業の半分にまでなった。宅配事業の売り上げだけを見てもサツドラとツルハを抜いており、宅配事業は今年度で1000億円を超える規模になる。

 ーー惣菜や日配品のセンター化では、石狩と江別の工場が機能している。

 大見 センター供給とバックヤードのインストア生産はうまく回転している。これからは、配食事業の施設を増やしていき、学校給食が作れる道内インフラを構築する。宅配トドックセンターに給食センターを付帯させるモデルが、帯広南センター。あのタイプで全道の宅配トドックの拠点に配食工場を付随させていき、学校や病院の給食マーケットを拡大する。



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