札幌市手稲区を中心とする西部地域で食品スーパーの激安競争が進行している。全国系ディスカウントストアのトライアルが富丘店(富丘2条4丁目)を10月中旬にオープン、地域デフレ色の強かった手稲区はさらに食品価格のデフレ化が進行しそうだ。激安化はさらに激安化を呼び込むため、札幌西部地域は食品スーパーの生き残りを賭けた展開が続きそうだ。(写真上段左から時計回りにスーパーアークスエクスプレス、ザ・ビッグエクスプレス前田店、現金問屋手稲店、スーパーセンタートライアル富丘店)

 

札幌・手稲区など西部地域は、3年ほど前までカウボーイ手稲店跡に居抜き出店したトライアル手稲店(前田5条13丁目)や西友手稲店(前田1条11)、旧ポスフール手稲店跡に出店した卸売スーパー手稲店(手稲本町2条5丁目)がディスウカンターを標榜する程度で、食品スーパー同士の競争はそれほど激しくなかった。

 

しかし、均衡が崩れたのは一昨年末にラルズが元海商の店舗跡を取得して、ハードディスカウント業態のスーパーアークスエクスプレス(北区新川西1条4丁目)をオープンさせて以降だ。同店の商圏は手稲区にも及びディスカウント競争に火が付いた。

 

ディスカウントドミノは、ジョイ前田店(前田8条10丁目)を展開していたマックスバリュ北海道に飛び火し、今年3月に同社は前田店をディスカウントのザ・ビッグエクスプレスに転換、限られたパイを取り戻す回生策に出た。

 

さらに今年5月末には、卸売スーパーが手稲店を移転、旧ダイエー手稲店跡に現金問屋手稲店(前田4条7丁目)をオープンさせ、手稲区の食品激安化はさらに進んだ。

 

とどまることを知らないディスカウント戦争に油を注ぐ格好で10月中旬にトライアルがスーパーセンター富丘店を居抜きでオープンさせ、トライアルは既存の手稲店とともに2店舗体制で西部地域のシェア固めに一気に乗り出している。

 

低価格の食材を求めて食品スーパーを移動していくバーゲンハンターと呼ばれる買い物客は、実際にはそれほど多くないものの、ディスカウント店が増えれば既存の食品スーパーも追随せざるを得なく、地域全体の食品価格が際限なく下振れしていく。

 

流通関係者は、「ディスカウントが常態化しているのは、道内では旭川地域と釧路地域だったが、トライアル2店舗目の出店があった札幌西部地域はディスカウントの常態化が進むだろう」と言う。西部地域以外にもスポット的にディスカウント店は点在しているが、今のところ面的にディスカウント地帯になった西部地域以外は局地的なディスカウント合戦が展開されているにすぎない。今後、西部地域のようにディスカウント店のドミノ出店が進めば、札幌全体が面的なディスカウント地帯になる可能性も否定できない状況になっている。

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