土地開発・企画・設計・監理・運営などの事業を展開している、ストアプロジェクト(本社・札幌市中央区)。1977年10月15日に設立された同社は、北海道のスーパーやドラッグストアなどの隆盛を支え続けてきた黒子役だ。創業者だった間宮明雄代表取締役が昨年10月24日、74歳で死去、後を継いだのが間宮氏の三女、なつき氏(41)。二代目なつき氏は、ストアプロジェクトをどう導いていくのか、胸の内を聞いた。〈まみや・なつき〉…1980年札幌生まれ、41歳。中高学校は藤女子学園、多摩美術大学環境デザイン学科卒。その後、東京の設計会社を経て、2014年にストアプロジェクト入社。取締役、専務を経て2020年10月から代表取締役。一級建築士。
高校生の時に、父から「会社を継ぐのだから、大学は建築系に進学しなさい」と言われました。でも当時、そんな気は全然ありませんでした。ただ、彫刻や陶芸が好きで絵も描いたりしていたので、建築も面白いと漠然と思っていました。結局、多摩美大環境デザイン学科に進学することにしましたが、会社を継ぐつもりはありませんでした。
大学を卒業すれば、設計事務所に入ることが当たり前の流れだったので、私も東京の設計会社に入社して複数の会社で16年間修業しました。独立したいと思って父に相談したら、「一緒にやろう」と言われ、それも良い選択だと思うようになっていたので、2014年にストアプロジェクトに入社しました。
先代は、31歳で岡村製作所を辞めて独立したので、多くの苦労を重ねてきました。その経過の中で、素晴らしい人格を形成していったのだと思います。多くの方々に愛され、複雑な物事に向き合ってもバランスを取りながら、正しい道を選択し続けてきた経営者でした。嗅覚で捉える人だったのですが、その嗅覚が、とても良いところを嗅ぎつけるので、「そんな視点で見ているのか」と私も感心することが多々ありました。そうした先代の姿勢が、当社の歴史をつくってきたのだと思います。
そんな父に教えを請い、数年間にわたってストアプロジェクトという会社を理解するため、建築内装設計だけでなく、開発企画、施設運営、営業、総務など経営全般に携わってきました。当社での経験を重ねるにつれ、とても良い会社であることを強く認識するようになりました。何とかその中で、自分がやってきたことを組み込みながら、父と二人三脚で商業を主体としながら、より幅広い方面に開発企画を進めて一緒に歩もうとしていた矢先、病の進行が早まり、昨年、この世を去ってしまいました。
私は、道半ばで、会社を経営しなければならなくなりました。しかし、父と一緒に築き上げた事業拡大に対する方向性は、父がいなくなったとしても揺らぐものではありません。その方向性とは、販売スペースや内装空間をつくるだけでなく、仕掛けから企画提案していけるような総合コンサルティングができる会社です。目下、住宅、商業複合ビル、再開発事業、ニセコの宅地開発事業など様々なジャンルにチャレンジしているところです。