リアルエコノミーは、アークス(本社・札幌市中央区)の横山清社長へのインタビューで例年新春を飾っているが、今回はその第2弾。アークスとバローホールディングス(同・岐阜県多治見市)、リテールパートナーズ(同・山口県防府市)は2018年12月25日に資本業務提携を発表、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成した。それから1年が経過し同盟の成果と将来への布石はどう構築できたのか。横山社長にインタビューした。(写真は、インタビューに答えるアークス・横山清社長)

「新日本スーパーマーケット同盟に参加している3社は、義務を伴わなければならないとして互いの会社に出資、各社とも6~7番目の大株主になった。リテールパートナーズについては、アークスとバローHDが筆頭株主と2位株主だ。3社は2社に32億円ずつ、計64億円のカネが出せる力があることとリテールパートナーズについては我々が1位、2位の大株主になっても構わないという大きな経営判断があったということ」

「そもそも同盟を結成する原点になったのは、イオンが一昨年に地方の食品マーケットを押さえると宣言したことへの対抗からだ。あれは、我々地方スーパーへの宣戦布告のようなもの。『それなら』ということでスーパーの市場認識が共通した3社がまず同盟を結成したというわけだ」

「しかし、新しいモノを作ってすぐに乗り換えられるような便利なモノは世の中にはない。今まで作ってきたモノをベースに、それを超えるようなモノを将来的にどう作っていくか。そのためにはカネも人手もかかる。同盟は、費用対効果がないなどといろいろ言われているが、問題解決の足掛かりを掴み始めたのがこの1年間の成果だ」

「3社同盟によって全国的な規模で様々なことに取り組むベースができた。提携推進委員会は4つの分科会に分かれ、商品分科会については取締役商品本部長クラスが東京に集まって地場商品や産地情報、取引先情報の共有、共同販促、限定商品開発などを進めているが、基礎は1年間で構築できた。普通だったらそう簡単にはいかないが、3社の店舗でやろうとなったら一発で決まっていく。これは良かったと思う」

「外国人技能実習生の受け入れについては、互いに情報を共有しながら監理団体を一つにするなどしてコストを減らしている。トータルの削減幅は100~200万円と大したことはないと思われるかもしれないが、これから外国人技能実習生がもっと増えていくことを考えればやっておかねばならないことだ」

「3社のトップは、四半期ごとに札幌、岐阜、山口とそれぞれの本社を回っている。分科会のメンバーは毎月東京などで集まっており、『こうだ』というものが現段階ではないけれども、我々が想定しているように既存のものを大事にしながら、それをベースに新しいモノを作っていくということが意外とすんなりと進んで来たと言える」

「同盟は、今は3社だが4社目、5社目の手が挙がっている。そうなれば各社の出資規模は100億円近くになる。手を挙げている企業はそれだけのカネを出せる企業であり、出して良いという企業だ。ただ企業同士の株の持ち合いは目的がなければ証券取引所の指導もあって削減方向のため、これをどうするかを考えていかなければならない」

「費用対効果が顕在化していない現段階で、なぜ4社目、5社目と手が挙がるのか。事実上、数千億円の売り上げがあって100億円を超える純利益を出している企業でなければ同盟に参加することはできない。それら企業が単に将来の生き残りに不安を感じているのが参加理由ではなく、大きな革命に近いような変化を想定して同盟への参加でその糸口を掴もうとしているということだ」

「私は、共同仕入れやPB(プライベートブランド)商品の開発・販売を行っているCGCジャパンの役員(取締役副会長)もしているが、同盟でPB商品を作るにしても、CGCでできるものはCGCで、それを超えるものは同盟でというように対応したい。PBというよりも、留め型商品(小売業や問屋、メーカーなどが条件を付けてその店でしか買えない商品を共同で作る商品)で考えている」

「現在、同盟3社は、北海道・東北、中京地区、中国・九州地区で商圏はクロスしていないが、4社目、5社目と増えてくるとそれぞれの商圏エリアがクロスして当然仲間内の競合が発生する。しかし、それを乗り越えていかないと国内2強の流通コングロマリットには対抗できない。同盟に参加しているスーパーは、売上高5000億円~6000億円という中小規模だが、それが合わされば最低限必要な規模のメリットが充実していく。地域や分野といった境界を超えた状況で規模の構築を図る挑戦は着実に進んでいる」

「都市部に出店すると、現在の家賃は坪単価で2万5000円や3万5000円と言われている。そういう店で一丁50円の豆腐を売って果たして商売は成り立つのか。もちろん成り立たせているところもあるが、これからは大企業や商社、銀行などが絡んで別な仕組みでその価格で成り立つ状況が出てくるだろう。店の半分はリアルのオフラインベース、もう半分はオンラインでアマゾンや楽天がやっていることとは別なスーパーマーケット版が経営フォーマットになって一つの時代をつくるのではないか。それが、同盟の目指す方向の一つでもある」(次回に続く)



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