コープさっぽろ、全労済北海道本部、北海道医療生協、ほくろう福祉協会の4者は17日、医療や健康の分野で事業提携することで合意した。高齢社会を迎えて医療や介護、健康などそれぞれの組織が持つ機能をネットワーク化して包括的なケアシステムを構築していくのが狙い。具体的には、コープ店舗を利用したホームヘルパー、ケアマネジャーの養成講座開催や病院、高齢者専用住宅、コープ店舗などを一箇所に集めた医療・商業一体化ゾーン開発など。高齢社会の新たな取り組みとして注目される。(写真は、4者の事業提携を発表するコープさっぽろ山口敏文専務理事(中央)ら5人)
4者はこれまで単独で医療や介護、健康の分野で事業を展開してきた。しかし、コープさっぽろの138万人組合員のうち、50歳以上が6割を占めるなど、医療・健康・福祉の領域は事業者間の垣根を超えた共通課題として取り組むべき時期に入っている。
コープさっぽろ、全労済、医療生協は協同組合組織として北海道生協連合会に加入しており共通認識があったことに加え、社会福祉法人のほくろう福祉協会も北海道労働者福祉協議会が母体となって設立され、生協組織との共通点も多いことから今回の4者事業提携に結びついた。
具体的には全労済やほくろう福祉協会が行っている介護事業を担うホームヘルパーやケアマネジャーの養成講座をコープさっぽろの文化教室や店舗を利用して実施するほか、コープさっぽろの組合員を対象に行っている宅配を利用した健康診断も充実させる。
宅配を利用した通信型の健康診断は、コープさっぽろが九州の医療機関と提携して大腸がん検診を実施しており、これまでの2回で合計5500人の利用があった。コープさっぽろでは、医療生協の検診事業を利用して6月に尿によるピロリ菌検査を第一弾として行う。
ほくろう福祉協会の松本剛一理事長は、「介護の現場では人材の確保が大きな問題になっている。資格を持っているが実際には働いていない人が相当数にのぼっており、潜在的な有資格者の掘り起こしにコープさっぽろのネットワークを使っていきたい」と語っている。
また、医療生協は札幌市清田区で札幌緑愛病院を運営しているが、老朽化による移転が迫られおり、移転先として同じ清田区内で8000坪の候補地を絞り込んでいる。今回の4者事業提携によって移転先には病院のほかに特別養護老人ホームやコープさっぽろの店舗などを配置して医療福祉とシニア世代に的を絞った食品スーパーなどを集積させる計画もある。
コープさっぽろの山口敏文専務理事は、「それぞれの専門性を生かした連携で一体的な機能を実現し、地域包括ケアシステムの構築を目指したい」とした。