北海道大学とセコマ(本社・札幌市中央区)は、セコマグループの1社である北香(北見市相内町216)の野菜保管倉庫で、北大が開発したプラチナ触媒を用いた野菜の鮮度保持の超長期化に向けた実証実験を開始した。(写真は、札幌市中央区のセコマ本社)
北大とセコマは、北大COI『食と健康の達人』拠点で、食品の生産から保存、流通、小売り、消費の各段階における最適化制御により賞味期限・消費期限の概念を革新する保存方法の研究をしている。北大では触媒科学研究所の福岡淳教授が0℃の低温環境下においても低濃度エチレンを完全分解することができるシリカ担持プラチナ触媒を2013年に開発、改良を続けている。
エチレンは果物や野菜から発生し熟成や腐敗に影響するが、低温環境下でエチレンを除去できる触媒は今までに家庭用冷蔵庫に搭載され、家庭での野菜の鮮度保持に活用されてきた。今回の実験は、冷蔵庫から野菜保管倉庫への展開を目指すもので、北香の野菜保管倉庫2棟を使用し一方にプラチナ触媒を設置。設置の有無によって倉庫内のエチレンガス濃度変化や庫内の野菜の時間経過による変化を記録、評価する。
野菜の鮮度保持技術は、生産、貯蔵、物流の分野でも注目されており、加工前の保管時における鮮度低下や廃棄ロス削減のためにも貯蔵時の鮮度保持が重要。セコマは2006年に農業に参入、現在は道内6ヵ所約122haの農地で19品目の野菜を生産している。今回の実証実験を通じてセコマグループの生産、貯蔵、流通の分野で鮮度保持技術の実用化を目指していく。