北海道から出版物の輸送が変わる可能性が出てきた。街が広域分散している北海道は、輸送の抱える課題が集約されている地域。このほど出版取次最大手の日本出版販売(本社・東京都千代田区)がセコマ(同・札幌市中央区)グループと業界初の出版専用便以外を利用した共同配送を行うことになった。(写真は、札幌市中央区のセコマ本社)

 出版物の輸送は、出版社―取次業者―書店・コンビニの流れで消費者に届くが、出版専用便を使って配本するのが慣習。昨今は、出版物の販売落ち込みが続く一方でコンビニエンスストアの店舗数増加で配送の採算が悪化。さらに輸送業界のドライバー不足や物流コストの増加で、持続可能な出版物配送網の構築が求められていた。

 今回、日販とセコマは、道内のセイコーマート1158店向けの出版物について、これまでの日販による専用便からセコマ子会社のセイコーフレッシュフーズ(本社・札幌市白石区)による配送に4月15日から切り替えることで合意した。セコマグループの自社物流網を利用、他商品との混載によって出版物の輸送コスト軽減に繋げる。

 日販のセコマ向け出版物は全道の半分に当たり、これだけの規模で出版専用便以外を利用した共同配送は業界初となる。出版物は委託販売によって返本が30%もあるとされ、返本についても対応しなければならず一般的な卸業界とは違う物流となっている。
 なお、日販と取次2番手のトーハン(本社・東京都新宿区)は、輸送協業の検討を昨年11月から始めている。


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