食品スーパーのダイイチ(本社・帯広市)は、北海道のスーパーマーケット発祥の店舗である同社の「壱号店」を2019年3月末で閉店する。売り上げ減少や施設老朽化のため満60年の営業を終える。(写真は、ダイイチ壱号店=ダイイチのホームページより)

 ダイイチは1958年7月、地元商店街の商店主らが中心になって「帯広フードセンター」として資本金1000万円で設立された。セルフサービス方方式のスーパーマーケットを展開するのが目的で、同年9月に「壱号店」を帯広市西1条南10丁目の中心市街地に設置、この店舗が北海道のスーパーマーケット1号店となった。

 札幌でも函館でも旭川でもなく、帯広に北海道のスーパーマーケット1号店が開店したのは、新しいことを取り入れる民主導の経済が帯広で息づいていたことを示すものだった。

 「壱号店」は、2階建てで店舗は1階にあり面積は約117坪(389㎡)と現在では小型店の広さ。しかし、かつては道内のスーパーマーケットの中で坪当たりの売り上げがナンバーワンになるなど、同業者などの視察が相次いだ店舗だった。

 店舗の建物は賃借しており、これまでにも改修工事を行うなどしてきたが築後70年ほど経過、老朽化が激しかった。加えて店舗の立地環境も変化、建て替えて新店舗にしても往時の売り上げは見込めないと完全閉店を決めた。

 ダイイチの鈴木達雄社長は、「当社の今日があるのは『壱号店』があったから。株主や当社OB、利用者の方々にも思い入れのある店舗で閉店は忍びないが、店舗の老朽化と赤字で継続が困難。店舗の大家さんも昨年亡くなり、区切りをつけることも必要と考えた」と閉店の理由を話している。

 帯広フードセンターに続いて61年3月に設立された札幌の札幌フードセンター(現マックスバリュ北海道)、同年10月に設立されたダイマルスーパー(現アークス)の1号店はいずれも既に閉店している。


26人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。