ーー店舗出店についての基本的な考え方は。

 柴田 苫前郡羽幌町や枝幸郡枝幸町など人口7~8000人規模の街にも出店しましたが、黒字化までにやはり時間がかかります。紋別市や紋別郡遠軽町など周辺を含めて2万人規模の街では出店後、順調に展開できました。今後の出店も人口2万人規模の街を対象にしたい。しかし、新店舗を作っても10年後、20年後にどのくらいの規模になっているかは不透明。それを考えると、過大な投資はしづらい。

 ーー道央や道南への進出は考えていますか。

 柴田 以前に札幌・厚別に出店したことがありますが、1年も経たずに撤退しました。当時は生鮮食品も扱っていなかったのであまり魅力のない店でした。人口が多いから商売ができると進出しましたが、苦い経験でした。また、物流ルートも考えると道央や道南への出店は難しいと判断しています。

 ーー自動発注システムの導入以外には、どんな改革を行いましたか。

 柴田 物流改革を実施しました。店舗作業を分析すると、品出し作業が全体の45%、レジが40%でした。1番大きなウエートを占める品出し作業をさらに分析すると、半分が棚に納める作業、あとの半分が棚に納めるまでの付帯作業。さらに突き詰めて、付帯作業の中で1番大きいウエートは納品商品が積み込まれた台車コンテナに関わる作業でした。
 これまでは、閉店間際に商品が台車コンテナで搬入され、翌朝に社員たちがそのコンテナから商品を仕分けして必要な棚の前に商品を置き、品出ししていました。段ボールを捨てたり、台車コンテナを片付けたりする作業もあります。どうしたら、一連の作業を削減できるかを検討した結果、一度に納品する物量を減らさない限り無理だということがわかりました。

 今年5月までは店舗に週3回納品する体制でしたが、6月から週6回納品に切り替え、一度に納品する物量を削減しました。すると作業量は半分になって作業効率も上がります。物流コストは週3回から6回に増えるので普通なら倍になるのですが、これまでは6店舗に搬入するのにトラック6台が必要だったのを、物流業者に鍵とセキュリティーを預けて閉店から開店までの間に納品してもらうようにした結果、トラック2台で対応でき物流業者にとってもメリットが生まれました。ずっと赤字だった物流コストが収支トントンまでになったのです。その他にも、17年8月にセミセルフレジを4店舗に導入したり、18年8月末までにすべての店舗のレジを最新型に切り替えたりしました。

 ーー最新型レジの導入でキャッシュレス化にも対応できるのですか。

 柴田 現在は現金のみの取り扱いですが、キャッシュレス化が進んでいるため即時対応できるようにしました。本当は18年12月からクレジット対応などをスタートさせるつもりでしたが、消費税の軽減税率の問題が出てきたので様子を見ることにしました。当社は、キャッシュレス決済で5%還元になる可能性が高く、時限的とはいえ競争力が高まると考えています。「LINE Pay」や「PayPay」にも対応できるようになっています。

 経営に関して、私たちは常に危機感を背負っているので、新型レジ導入資金についても前期に一括償却しました。本音を言えば一括償却をせず見た目の良い決算をしたかった。しかし、災害やブラックアウトなどいつ起きるかわかりません。経費的には身軽にしておいた方が良いと判断したからです。今は、経営力を強く骨太にしていくことが大事だと思っています。

 ーー独自仕入れの商品も多いそうですね。

 柴田 全国を歩いてローカルブランドの発掘にも力を入れています。18年9月期は、新規取引先が6ヵ所でしたが、今期は既に6ヵ所の新規仕入れ先を開拓しました。大手食品卸から仕入れることも大事ですが、それだけでは差別化できない。すべてを委ねていては競争力がつきません。全国の仕入れ先を回って足で稼ぐことを徹底しています。私たちの規模では、自分たちで仕入れ先のドアを叩かない限り始まりませんから。



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