旭川市内9店舗を中心に道北、道東で小型ディスカウント食品スーパー「DZマート」を16店舗展開するダイゼン(本社・上川郡鷹栖町)。2018年9月期の売上高は、51億5000万円で前期比11%の増収だった。これまでは7%程度の増収で推移していたが、「紋別店」や「斜里店」、「枝幸店」、「名寄店」など地方店舗の伸びが牽引、二桁増になった。柴田貢社長(58)に同社の現状と今後の事業方針などをインタビューした。(写真は、インタビューに答える柴田貢社長)
ーー地方は本拠の旭川よりも消費環境は厳しい。前期に地方店舗が増収だった要因は何ですか。
柴田 ライバル店舗が少ないことと、いわゆる“旭川価格”が地方ではお値打ち価格に感じてくれていることもあります。なにせ旭川市内はオーバーストアー状態で価格競争が特に激しい。当社は地方によって多少価格は変えていますが、基本的には旭川価格を踏襲しています。地方は所得が比較的高い世帯が多く、買い上げ単価も旭川に比べて高い傾向があります。地方には購買力があると見ています。
ーー店舗は、面積や品揃えなど標準フォーマットを採用しているのですか。
柴田 「枝幸店」(13年10月開店)から新築物件になりましたが、それ以前は居抜き出店なので面積に合わせて品揃えをしています。新築店舗を建設するようになってから、標準敷地面積210坪、大きい店では230坪、品揃えは4000SKU(在庫保管単位)のフォーマットになりました。年商規模は平均約3億円、「紋別店」は前期で4億5000万円を売り上げて当社1番店になりました。
ーー小型店で利益を上げていくのは、難しいと言われています。
柴田 私たちは小型店しか知らないので他の食品スーパーから『大変ですね』とよく聞かれますが、私はむしろ大型店の方が大変ではないかと思います。当社は、基本的に1店舗に正社員1人、パート、アルバイトを含めて12人ほどで運営しています。1番少ない店舗は、2人で運営しておりコンビニエンスストアよりも人数は少ないくらいです。
ーーシステム化の投資には積極的ですね。
柴田 17年4月には、自動発注システムを導入しました。一部の生鮮品以外は全て単品管理をしています。在庫が減った分だけ夜間に自動的に発注するシステムで他社も導入していると思いますが、1品1品の在庫まで管理しているのはあまり聞きません。当社は、酒のディスカウントストアを展開していたため、酒税の関係で全て単品管理しなければならなかった。それが会社の文化として残っています。単品管理の自動発注システムを導入してから過剰在庫も減り、粗利も上がってきました。
ーー生鮮食品や惣菜は、店内調理をしているのですか。
柴田 惣菜は仕入れています。以前に一度、店内調理をしましたが、コスト的に合わずノウハウもなかったため断念しました。青果と鮮魚は、旭川流通団地内のPC(パック)センターで対応していますが精肉は当社仕様での仕入れです。
前述したように、当社は酒のディスカウントストアを展開するなど、様々に形を変えてきました。どうやって生き残っていくかを考える中で、自分たちでできるのは小型スーパーしかないということで進んできたのです。
ーー2008年ころに小型ディスカウントスーパーに業態転換を模索し始めたのですね。
柴田 当時はどう進むべきか迷っていて、あるセミナーでドイツの「アルディ」や「リドル」という会社が小型スーパーを世界的に展開していることを知り、実際に現地を視察しました。国内では、大阪市の「サンディ」や東京都の「ビッグ・エー」がアルディやリドルの店舗を志向して小型店を200店舗近く展開していることを知りました。
当社にもできるかもしれないと思い、何度も何度も「サンディ」や「ビッグ・エー」の店舗を見学させてもらいました。生鮮などは手掛けたこともなかったのに、2010年4月に旭川市内の「春光5条店」を「DZマート」に切り替えてスタート、順次業態転換していきました。本当に試行錯誤で遠回りしながら、やっとここ数年で軌道に乗ってきました。3歩進んで2歩下がるような状況がずっと続いていました。