札幌の大通と駅前通が交わる四つ角で石屋製菓・秋田銀行に続き、明治安田生命もビル建て替えを進めることになったが、大通の賑わいを取り戻すには、南一条通と駅前通が交わる四つ角の再開発を積極的進めるべきだという声が上がっている。(写真上段・建て替えが決まった明治安田生命ビルと最後まで残っていた胃腸科の移転看板、中段・左から4丁目プラザ、パルコ、三越、下段・日の出ビル)
駅前通地下歩行空間の開通で、駅前と大通の商業ゾーン一体化が期待されるが、南一条交差点の再開発が実現しなければ、駅前に賑わいが吸い取られる結果に終わりかねない。
大通と駅前通が交わる四つ角は、昨年5月に北洋大通センターが竣工、地下から低層階は大通ビッセとして商業機能を備え、新しい大通の顔として市民を惹きつけている。
西側の石屋・秋田銀行ビルも取り壊しがほぼ終了し、まもなく新ビル建設が始まる。また、明治安田生命ビルも最後まで残っていた胃腸科医院が移転、解体工事に入ることになっている。
しかし、大通ゾーンに本格的な賑わいを回復させるには、これらのビル再開発だけでは不十分という見方が強い。
駅前通でテナントビルを所有運営する敷島屋の中村達也社長は、「札幌の富裕層は南一条の商業施設に親近感を抱いている。札幌が元気になるには、南一条と駅前通が交差する四つ角のビルを一体的に再開発することが必要ではないか」と言う。
南一条と駅前通の交差点には三越札幌店やパルコ、4丁目プラザ、日の出ビルがあるが、かつては三越前が札幌商業地の路線価で最高価格だったものの現在はJRタワー前に移っている。
10日、3選を果たした上田文雄市長は中心部に賑わいを創出する目的で南一条西1丁目から4丁目までの再開発を表明している。また、南一条通に地下歩行空間も設置する考えだ。こうした市長構想を結実させるためには、四つ角ビルの一体再開発は欠かせない。
3月11日に開通した駅前通地下歩行空間は、予想以上の往来が続いている。これまで分断されていた駅前と大通が一体化する兆しが見え始めているが、大通ゾーンに消費者を惹きつけるには新しいハード(施設・建物)を備えることが欠かせない。