仙台市内に19店舗を展開している食品スーパーのモリヤが、7月30日付けで仙台地裁に民事再生法を申請したが、その行方を巡って道内食品スーパーが関心を示している。
モリヤの09年6月期の年間売上高は212億円。07年に新潟県で15店舗を持っていたパワーズフジミを傘下に収めるなど積極展開で売上げ拡大を図っていた。
守谷定夫社長が取引先に送付した文書には、「新店舗立地の選択ミスによって次々に赤字になった」と破綻の理由を述べている。負債100億円。


モリヤは民事再生で負債を切り離した後、現体制のままで再生を目指すことにしているが、卸の売り掛け債権もカットの対象になるため、再生計画で卸の賛同を得るのは微妙な情勢だ。
と、なると単独でなく新たなスポンサーが必要になってくる。そこで、関係者の間で、スポンサー候補として噂されているのが北海道地盤のアークス。
なぜ、アークスの名前が出てくるのか―。それは、モリヤもアークスも共同仕入れ機構でPB(プライベートブランド)も生産しているCGCジャパンの加盟企業という理由からだ。
アークスは、傘下にラルズや福原、ふじなどを持つ持ち株会社。昨年10月には東急グループから札幌東急ストアを約63億円で買収するなどM&A戦略を巧みに仕掛けながら順調な成長路線を走っている。
横山清社長は、「年商5000億円」を目標に掲げており、現在の3000億円強からさらに一段も二段もM&Aを重ねなければ目標額には到達しない。横山社長がライバル視するコープさっぽろは、財務上の問題を抱えているとはいえ、拡大路線を取っており8月には青森県の生協と提携するなど一足先に本州進出に乗り出している。
民事再生で負債がカットされれば、アークスに負担がかかることは少ないため、本州進出の土俵は整っているという見方が道内食品スーパーのトップの間に広がっているというわけ。
モリヤの年商200億円は、アークスグループにとっては効果が少ないものの、運営しやすい規模とも言える。本州市場での営業ノウハウをつかむ橋頭堡としてスポンサーに名乗りを上げる条件は満たされている。
横山社長はどんな答えを出すのだろうか。

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