食品スーパー進化系「地域インフラ軸」構築進める ホクノー野地秀一社長が語るポスト60年

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 食品スーパーや飲食業を営むホクノー(本社・札幌市厚別区)が7月で創業60周年を迎えた。厚別区のもみじ台という札幌市営住宅が建ち並ぶ地域の食を提供するインフラ店舗として貢献してきたが、高齢化率が高まり単身世帯も増加、「食」に加え「暮らし」「住まい」を見据えたワンストップサポート事業が生き残りには不可欠になってきた。3代目社長の野地秀一氏(46)に今後の考え方を聞いた。IMG_6951(写真は、インタビューに答える野地秀一社長)

 ――札幌市厚別区もみじ台地区は、1970年代から開発が進んだ地域で市営団地も入居が始まって40年以上が経過しています。ホクノーはこの地区を主戦場にしているためお客の高齢化、人口減少は避けられませんね。
 
 野地 人口減少はここ数年で始まったことではありませんが、じわじわと影響がでています。それに加えて最近は電気代の高騰、毎年2%ずつ最低賃金も上がってきているので人材の確保も厳しい。アベノミクスでインフレになっていますし、食料自給率も北海道は高いですが日本全体では40%台で輸入に頼らざるを得ない状況なので、円安によるコスト増もあります。これまでの粗利益を確保するのは難しくなっているのが現状です。
 
 本来は当社の小型店改装や収益構造の転換が必要だったのですが、小さな投資では小さな効果しか出せない。そんな現状の厳しい中で方向性を少し変えるため、昨年12月に旗艦店である中央店(札幌市厚別区もみじ台北7丁目)のリニューアルに踏み切りました。これを機会に投下資本に対してのリターンを小まめにコスト管理していくことにしました。
 
 ――リニューアルによってかなりの省エネ店舗になったそうですね。
 
 野地 省エネタイプの冷蔵庫導入の効果は大きい。冷蔵庫は24時間つけていますから、電力料金の見直しには効果的でした。これによって使う電気量は2割ほど下がりましたが、電気代が2割ぐらい上がっていますからほとんどイーブンですね。
 
 ――店舗数6店舗の中で「中央店」が旗艦店に位置付けられ、売上げ(約40億円)の6割ほどを占めている。
 
 野地 中央店は約300坪で新札幌店は210坪、他は100坪以下の小型店。売上げの大半は中央店と新札幌店の2店舗が占めています。
 
 ――競合店との競争はここ数年かなり厳しい状況では?
 
 野地 どんどん(競合店が)進出してきて、(その競合店の)売上げが落ちてくると改装してお客様を引きつけようとします。そのあたりの競合状況も勘案して中央店を改装しました。改装後は調子が良くて113%くらいで伸びています。改装で1カ月半ほどは休みましたが、従来のお客様が戻ってきたのに加え、周りから新しいお客様も増えています。
 

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