ーー長期的な視点で北海道経済を見据えて連携を進めることが必要ですね。
兼間 菅(義偉)前総理が、『金融機関が多すぎる』と言ったことは、北海道にも当てはまると私は思っています。だからこそ役割分担、棲み分けはキーワードになってくるのではないか。そういった自分のコンセプトを持ち続けたい。ただ、非常に微妙なところなので、しっかりと表に出せるようになればまたお話ししたい。もう少し、議論が必要です。
ーーウィズコロナ時代に北海道経済の目指す方向は。
兼間 コロナにかかわらず人口減少が進んでいますし、道内経済のマーケットは、基本的には縮小傾向で進んでいます。北海道の中だけで商売をしようとすると、どんどん商圏が狭まっていきます。FGの一番のメリットは、二つを合わせた店舗展開が、日本の半分をカバーしていることです。17年前から、ビジネスマッチングをかなりやってきましたが、昨年から共通のビジネスマッチングシステムが入りました。そうすることによって、北海道と本州のマッチングのケースが飛躍的に増加しています。北海道のお客さまにビジネスでプラスになる連携であり、両行が最も力を入れている取り組みです。お客さまも、対面販売だけでなく、DXなどを使われていますが、中には今まで売れ行きが鈍かったのに、コロナ禍で急激に売り上げが伸びた食品関連の企業もあります。そうしたマッチングのお手伝いを今後も強力に進めたい。
私たちは、数年前から農業にも力を入れてきていますが、水産業含めて一次産業にしっかり寄り添っていきます。
ーー農業向け融資は伸びていますか。
兼間 現在は約180億円ですが、そう簡単にはいきません。数字を焦ってはいけないと思っています。若い農業者は農業法人をつくって既存の枠から脱却したいと思っている人が確実に増えており、それに向けた資金ニーズに対応していきたい。
ーーロシアビジネスの現状はいかがですか。
兼間 岸田文雄総理がプーチン大統領と電話会談をして、日ロ関係をしっかり再構築していくことに合意したようなので新たなスタートになり、私たちが手掛けているロシアビジネスは、重要性を増してくると思っています。ただ、右肩上がりに増やせるビジネスではないので、慎重に進めていかなければなりません。
ーー観光面についてのポストコロナをどう見ていますか。
兼間 インバウンドの方たちがどんどん入ってくるまでは、まだ時間がかかると思いますので、国内の人たちや地元北海道の人たちが、道内観光に出掛けやすい仕組みづくりを行政や業界に望みたいですね。ニセコは、コロナ禍でも不動産売買が止まっていないと聞いていますし、富良野も動きがあると聞いています。ホテル・旅館については、少し価格帯が高いところから、稼働率が上がってきているようです。
銀行としての融資姿勢は、それぞれのコンセプト、立地などいろんなことを総合してしっかり判断したいと思っていますが、後ろ向きにはならないようにしたい。5年後、10年後を見据えて、努力しているお客さまをしっかりと応援していきます。コロナ禍で皆さん大変厳しい経営努力をされていますから、何とかここを乗り越えて次に繋げていただきたい。
ーー最後に、座右の銘や趣味をお聞かせください。
兼間 特にどの言葉を座右の銘にしているということはありませんが、『努力と忍耐』は好きな言葉です。趣味はゴルフですが、歌うことも好きですね。かつて道銀合唱団全盛期の団員としてバリトンを担当しました。全日本大会の職場の部で金賞を受賞したこともあります。カラオケでは、少し古くなりますが、井上陽水や安全地帯をよく歌います。(終わり)