――頭取として、まず第一の仕事は来期から始まる中期計画の策定ですね。中期計画の骨子は。

 兼間 申し上げられる部分と、申し上げられない部分がありますが、3年間で手を打たなければならないことは、しっかりと手を打つ3年間にしたい。札幌市内の営業体制も、この6月から見直しをして、法人部門、個人渉外部門、個人ローン部門、窓口部門と4つの部門の役割を明確にした店舗運営に移行しています。銀行界でもほとんど聞いたことがないようなことに取り組んでいます。
 この10月から、本店に札幌市内や石狩市内の法人部門を集約をして、住宅ローン、個人渉外を切り離して法人だけの担当セクションである本店法人営業部を設置しました。ある程度、法人を取り扱う店舗を集約して、店舗が全ての機能を持つことから脱却します。行員も法人、個人渉外、個人ローン、窓口と、役割を明確にする体制にします。それによって、より効率化できるセクションもありますから、そうして生み出された部分を成長分野にシフトしていきたい。

 銀行取引はスマートフォンなどによってほとんど対応できる時代になりましたから、銀行窓口にお客さまが来られるのは少なくなりました。その部門に多くの人員を抱える必要がなくなっているわけです。単純な業務を本部に吸い上げて、営業店は最低限の陣容で窓口業務ができるようにして相談業務に軸足を置いていこうと思います。また、法人業務ができる行員を増やしていきます。これから、コロナの出口の中で、融資だけではない踏み込んだご支援・お手伝いをするためにも、そのことに詳しい行員を育てていく必要があります。

 ――その中で支店の統廃合も出てきます。

 兼間 札幌市内は、しっかりとビジネスを展開していかなければならないので、店舗を減らすことは、収益機会を失うということに繋がります。店舗規模をミニマムサイズにしながら、収益力を落とさない展開をしていきたい。借りている物件の契約期間もあるので、そう簡単にはいかないですが、理想として今の支店のサイズをミニマムにして、新しいところにも出していくことも検討していきます。一方で、自己所有の店舗もたくさんあります。場合によっては、窓口業務だけになってスペースが空くケースも出てきます。そういう空きスペースを相談スペースとして有効活用することもありますし、賃貸するということもあり得ると思っています。

 ――ATMの効率配置も必要になっています。

 兼間 1台の年間維持コストは、約500万円ほどですが、ATMの利用数は減少傾向が続いています。キャッシュレスの決済などにどんどん移行しているためで、私たちとしてもキャッシュレスへの移行体制を強化してATMの台数を少なくして効率化させたいと考えています。他金融機関と共同で使えるATMにすることも必要だと認識しています。その辺りのことは、信金さん、信組さんと今、進めています。場所によっては、北洋銀行さんとの共同ATMを展開しているケースもありますので、今後とも共同化を促進していく考えです。

 ――キャッシュレスへの取り組みをさらに加速していく方向ですか。

 兼間 残高照会などの機能はアプリで展開できるようにしていますし、送金機能も付加しています。11月からは、振り込み手数料についても、インターネットやスマホの場合は窓口と比べて安くするなど、どんどんキャッシュレスに向けてシフトしていきたい。

 ーー業務の効率化も進んでいますね。

 兼間 3年ほど前からタブレット端末を職員全員が持っていまして、お客さまのところに出掛けても、それによって話が進められるようにイントラシステムを構築しました。私たちの文書決済なども全て電子稟議になっています。私は、FGの役員も兼務していますので、北陸さんを含めて全部電子稟議で対応できるようになっています。距離のある者同士の経営統合だったので、こういうシステムが必要だったからです。例えばテレビ画面で打ち合わせをしながら、手元のタブレットには共通の資料が展開されているという状況です。担当者同士の会議や取締役会、経営会議についても共通のシステムで、どこにいても会議ができる仕組みになっています。

 ――相当な効率化が進んでいますね。

 兼間 個人的には一番のセールスポイントではないかと思っています。担当者の利用時間は制限していますが。私たち役員は、出張でタブレットを持っていきますから、場合によっては24時間365日、決裁しなければなりません。私はどちらかというと朝型なので、朝決裁することが多いですね。今までは、3日間出張して帰ってくると、紙の書類が山のようになっていたのですが、今は全くありません。若い行員たちは、このシステムにいち早く慣れてくれているので、業務の効率化は相当進んで行くと思います。本当に、画期的なシステムになってきていると思います。



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